朝が苦手、午前中ぼーっとする…実は「フクロウ型」体質? 漢方医療で改善、医療センターの取り組み

西日本新聞 医療面

朝起きるのが苦手な「フクロウ型体質」の人の診察を続ける恵紙英昭教授(右)と田中聡子医師 拡大

朝起きるのが苦手な「フクロウ型体質」の人の診察を続ける恵紙英昭教授(右)と田中聡子医師

ヒバリ型体質とフクロウ型体質の特徴

 大型連休もいよいよ今日まで。今年は長い人で休みが10日も続いただけに、連休明けに学校や会社に行くのを憂鬱(ゆううつ)に感じる人もいるだろう。朝起きるのが苦手で、午前中はぼーっとする-。そんな悩みがあれば、実は体質が原因かもしれない。久留米大医療センター(福岡県久留米市)が開設している「フクロウ外来」は、朝が苦手な体質を改善する漢方医療に取り組んでいる。

 医療センターの一角に設けられたフクロウ外来。さまざまな生薬のサンプルが並ぶ診察室で、漢方医学を専攻する精神科医の恵紙(えがみ)英昭教授が開口一番に切り出した。「実は私も学生時代、朝はよく起きられなかったんですよ」

 小中学校時代から遅刻しがちだった。高校では敷地内にある寮に入り、始業5分前まで寝ていたという。午後から調子が出るタイプだったため、大学では徹夜で勉強し、そのまま寝ずに午前中のテストを受けに行くこともあった。

 医師になって3年目、体質を心配した先輩医師が漢方薬を勧めてくれた。処方されたのは、めまいや立ちくらみに用いる「苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)」。服用すると体が軽くなり、驚くほどすっきり目覚められるようになったという。

 これを機に、恵紙教授は漢方医学を学び、診療に生かすようになった。担当するフクロウ外来では、自分と同じように朝起きられず、生活に支障が出ている人の診療を続けている。

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 フクロウ外来というユニークな名称は、漢方医学の考え方に由来する。

 漢方の名医として知られる故山本巌氏は著書「東医雑録」で、人間を二つのタイプに大別した。一日中、元気に活動できる「ヒバリ型」と、朝の活動は苦手で午後から調子が上がる「フクロウ型」だ。

 ヒバリ型の人は、早起きで夜の寝付きもいい。骨格や呼吸器、循環器、胃腸が丈夫で、めったに病気にかからず、食欲も旺盛。体の無理が利くため、暴飲暴食を重ねがちで、中高年になって高血圧や糖尿病などの生活習慣病に悩む傾向があるという。

 一方、フクロウ型の人は朝起きるのが苦手。午前中は体の動きも頭の動きも悪く、午後3時ごろから調子が上がるが、夜はなかなか寝付けない。体力がなくて疲れやすく、慢性的なめまいや頭痛、肩こりなどに悩みやすい。ただし、40歳をすぎると体調不良の訴えが減り、60歳以降は元気で長生きするという。

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 恵紙教授によると、フクロウ型体質は医学的な疾患概念としては認められていない。西洋医学の検査では「異常なし」と診断され、原因不明のまま不調に悩み続ける人も多い。首や脊椎のゆがみが見られることが多いのも特徴だ。

 フクロウ外来は、恵紙教授と小児科の田中聡子医師の2人が担当。まずは西洋医学の観点から疾患の有無を調べる。異常がない場合も患者の話を聞いて、生活習慣や脊椎のゆがみなどを総合的に判断し、フクロウ型体質かどうかを判断する。

 フクロウ型であれば、「苓桂朮甘湯」や、全身倦怠(けんたい)感や食欲不振に用いる「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」などを処方し、生活習慣の改善やストレッチ方法も合わせて指導する。西洋医学と漢方医学の長所を組み合わせ、症状の緩和を図るのが強みだ。

 昨年8月の開設以降、九州を中心に約100人が受診。特に、受験を控えた中高生や大学生の相談が多かったという。症状改善には個人差があり、早い人は数日で効果が出るが、2~8週間ほどかかる人もいる。

 恵紙教授は「病院で異常は見つからず、『なぜこんなにきついんだろう』と悩んでいる人が多い。周囲に怠け者と思われ、自己肯定感を失っているケースもある。実は体質に原因があるかもしれないので、一度相談してほしい」と呼び掛けている。

 フクロウ外来の診察は毎週水曜午後1~4時で、1日1人の予約制。新規外来の予約は今夏まで埋まっている。問い合わせは久留米大医療センター内の先進漢方治療センター=0942(22)6111。

=2019/05/06付 西日本新聞朝刊=

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