「あのとき話し合っておけば…」ゲーム依存、息子は引きこもりに 母の後悔

西日本新聞

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ゲームにのめり込む子どもへの接し方

【リアルはどこに ゲーム依存を考える】<2>

 福岡市の住宅街。辺りがすっかり寝静まった午前3時、浩樹(16)=仮名=の自室から怒鳴り声や笑い声が響いてくる。「おまえ行け、おまえ行け」「ほんとうざい」

 いったい誰と話をしているのか。母親の由紀=同=は不安といら立ちを抑えて「いいかげんにして」と浩樹にメッセージを送り、布団をかぶった。

 浩樹が高校を休みがちになったのは今年1月。スマートフォンを与えた中学時代からゲームに夢中になっているのは知っていたが、毎日登校し、部活もおろそかにしなかった。だがこの年明け、お年玉で自らタブレット端末を買うと、一気に昼夜が逆転した。

 「勉強に付いていけないからやめる」。3月、期末試験も追試も受けず、1年間で高校を中退した。

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 浩樹が寝るのは毎朝7時。夕方に起き出し、午後7時ごろからゲームを始める。ゲーム仲間と“待ち合わせ”をし、バトル系ゲームに熱中する。100人が最後の1人になるまで生き残りをかけて銃で殺し合うのだという。

 この数カ月で体は痩せ顔は青白くなった。浩樹は「悩みはない」と言うが、ゲームにのめり込むことで目の前の問題から目をそらしているように見える。「高校で自分の居場所や楽しみを作れなくて、心の空洞にゲームがすっぽりはまっちゃったのかな」。由紀は推測する。

 「夜中はやめて」「そんな生活じゃ働けないでしょう」。ゲームの時間を減らすよう言っても聞かない。「ゲーム依存じゃないの」と向けると、「そう思いたいなら、思えば」。アルバイトで金をためて家を出るよう勧めたが、面接を一度受けに行ったきり、家から出なくなった。

 無理やり端末を取り上げることも考えた。でも唯一熱中できるものを失い、無気力になったら。自暴自棄になって荒れたら。そう思うと強く出られない。シングルマザーで、息子が心を閉ざしてしまうことだけは避けたい。

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 「子どもはいつも何してる?」「ゲームですね」「ずっとスマホいじってる」…。3月、福岡市で開かれている不登校や引きこもりの親の会に足を運んだ由紀は、「うちだけじゃない」と感じた。

 「『友達も持ってるから』『連絡取るのに必要だから』。そう頼まれて、簡単にスマホや端末をOKしてしまった。あのとき、ちゃんと使い方やルールを話し合っておけばよかった。手遅れですよね」。由紀は後悔を口にした。

 引きこもりとゲームの密接な関係。効果的な解決策も、子どもの行き着く先も見えず、親たちには不安ばかりが募っていく。

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