着生ランに宿した夢爛漫 阿久根市の民家 「癒やしとロマン」2万本見頃

西日本新聞

「着生らんの里」を手掛けた前田司さん。台風で倒れた木に着生していたランは今年も花を咲かせ、オブジェとして飾っている 拡大

「着生らんの里」を手掛けた前田司さん。台風で倒れた木に着生していたランは今年も花を咲かせ、オブジェとして飾っている

岩肌にも着生しているラン 木の幹に根を張り、着生しているラン 一見根付きそうにない幹にも着生しているラン

 枯れ木や岩にも花を咲かせましょう-。樹木の表面などに着生するラン約2万本がある「着生らんの里」(鹿児島県阿久根市)で、白や紫の花々が爛漫(らんまん)と咲き誇っている。自宅敷地内にこの「楽園」を約20年かけて完成させた前田司さん(81)は、さながら「現代の花咲かじいさん」。今年も新緑と共演する花たちに「花は癒やしとロマン」と目を細めている。

 1985年ごろ、県内の苗木店で着生ランに「一目ぼれ」したのがきっかけ。元来の園芸好きで、土に根差さない珍しい花でいっぱいの庭の光景が頭の中に広がった。種類の多いランの中から着生を試したが、冬の寒さを乗り越えられず失敗も重ねてきた。

 自宅そばの棚田を買って敷地も拡張。建設業の腕前を生かして重機を操り、池なども整備した。枝から自然に咲いているような演出を心掛け、約1ヘクタールの敷地にある多様な木々や岩に、セッコクなど8種類ほどの約3500株を根付かせた。

 花をさかなに知人らとバーベキューをするなどして楽しんでいたが、知らない人がひょっこり観賞に訪れることもあり、約10年前から一般公開するようになった。かつて思い描いたように、人が集い、笑顔が咲く瞬間がうれしい。

 着生ランの根は、木の枝や幹にびっしりと絡み付いているが、寄生とは異なり栄養分を吸収することはないため、岩肌にも根付くという。胃がんやくも膜下出血も経験した前田さんは「家族のおかげで、好きを通り越して熱中できた。私の人生も例えるなら忍耐強い着生ランみたいなものかな」と顔をほころばせた。

 開園は19日まで。大人500円(中学生以下無料)。着生らんの里=0996(73)3049。

=2019/05/11付 西日本新聞夕刊=