芝居をやって見せて演技指導 映画「轢き逃げ」監督・脚本 水谷 豊さん

西日本新聞

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水谷豊さん

 ドラマ「相棒」シリーズで知られる俳優の水谷豊さん(66)が監督・脚本を手掛けた映画「轢(ひ)き逃げ-最高の最悪な日-」が10日から全国公開されました。ひき逃げ事件の加害者・被害者双方の心理を丁寧に描いています。監督2作目の水谷さんに、映画作りへの熱い思いを聞きました。

 -今回、サスペンスものを選んだ理由は?

 ★水谷 映画に嫌いなジャンルはないんです。割と何でも興味を持つ方で。また、何でも映画にしようと思えばできる。その中で、監督として2本目の話になったとき、プロデューサーから「水谷さんが考えるサスペンスを見てみたい」という話があり、じゃあサスペンスで考えましょうか、ということになった。そうしましたら、2日後にもうこのアイデアが出てきたんですね。

 まず人間の嫉妬をテーマにしました。嫉妬は決して悪いことではなくて、ドラマができないかと考えたのがきっかけでしたね。そこでひき逃げ事件があって加害者と被害者がいる、事件ですから刑事がいる、と考えていったら、どんどんストーリーが展開していきました。

 -映画の序盤は、ひき逃げした会社員2人の焦りを描き、次に水谷さんが演じる被害者女性の父親が登場して、事件に新たな謎が出てきます。

 ★水谷 このような事件が起こったとき、起こした側も、遭遇した側も、どうなってしまうんだろう、どうしたらいいんだろう、何に救いを求めたらいいんだろう。そんなことを考えながら作っています。

 -冒頭のひき逃げのシーンなど、リアリティーのある場面が多いですね。

 ★水谷 ひき逃げの場面は、ロケに行く前に、東京のスタジオにスタッフが集まってカメラテストを何度もやったんですね。どうやるのが一番いいか。最後にあのシーンにたどり着いた。他の場面でも、法律とか実際の状況とかを調べながら、うそはつかないようにしたつもりです。

 -主人公を演じた中山麻聖さんと石田法嗣さんの2人はどうでしたか?

 ★水谷 なかなか難しい役どころでした。表に見えているものだけでなく、裏にひそんでいるものを出してもらう。たどり着きたい水準がシーンごとにあるので、そこにたどり着くまでやってたんですけど。

 僕はもともと役者ですから、監督として演出するとき、自分が芝居をやって見せて2人に演技指導することが多かったかもしれませんね。言葉では説明できない感情を表現するときとか。そこに、2人が持っている個性を合わせました。

 -迫力ある映像と音声の「ドルビーシネマ」に対応する作品としては、邦画初だそうですね。

 ★水谷 ドルビーシネマは、日本ではT・ジョイ博多(福岡市)に初めて導入されました。そこで見ましたが、いいですねえ。今までの映画だと、客観的に見ていたような気持ちだったんですけど、ドルビーシネマだと自分が一緒に映画の中にいるような錯覚を起こしましてね。九州の方にも、ぜひ体験していただきたいですね。

 -主題歌は、福岡県出身の手嶌葵さんが歌っています。

 ★水谷 脚本を書いている段階から、主題歌は女性のボーカルで、救いを求める話でもあるので、思いがある方にお願いしました。よかったですねえ。

 -ロケは神戸で。

 ★水谷 イメージは「とある地方都市」と架空の都市にしているんですけど。海あり山ありで。地元の方々にも協力していただきました。今回のロケで楽しかったのは、神戸の食べ物がおいしかったことですね。3週間いましたから。

 -ちなみに、福岡の食べ物でおいしかったのは?

 ★水谷 焼き鳥ですね。福岡といえば、焼き鳥ですから(笑)。

 ▼みずたに・ゆたか 1952年7月14日生まれ、北海道出身。ドラマ「傷だらけの天使」(74年)「熱中時代」(78年)「相棒」(2000年~)など多くの作品に出演。監督第1作の映画はタップダンスの世界を描いた「TAP-THE LAST SHOW」(17年)で、主演も務めた。

=2019/05/11付 西日本新聞朝刊=

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