「鯰絵」奉納、最古の文書か 福岡市・賀茂神社 皮膚病治癒願う

西日本新聞

日本最古の「鯰絵」の文言が出てくる文書と判明した江戸時代の古文書 拡大

日本最古の「鯰絵」の文言が出てくる文書と判明した江戸時代の古文書

賀茂神社に伝わる白ナマズの絵馬。今回の文書の「鯰絵」との関わりは不明だ

 「ナマズの神様」として親しまれている福岡市早良区の賀茂神社に、国内最古となる「鯰(なまず)絵」奉納に関する文書が残っていることが研究者の調査で分かった。江戸時代(1821年)の日付で、皮膚病の平癒を神社に祈願し、「成就したらナマズの絵馬をささげる」とする内容。鯰絵は1850年代に頻発した大地震を受け、ナマズが起こすとされた地震を抑えようと全国的に流行した。近世の民間信仰の姿を示す貴重な資料として注目される。

 調査はナマズの研究で知られる皇嗣(こうし)秋篠宮さまが1996年、福岡市で開かれた行事で賀茂神社について尋ねられたことを機に、ナマズの民間信仰を研究する元福岡女学院大講師の半田隆夫氏(日本近世史)らのグループが行った。

 神社で見つかった古文書の日付は、1821(文政4)年6月25日。近くの姪浜村(当時)の住民が、首筋や脇腹にできた皮膚病が治るよう、神社に祈願したなどと記されている。この皮膚病は「白ナマズ」と俗称されていることから、ナマズをまつる賀茂神社を頼ったとみられる。

 半田氏と「生き物文化誌学会」の会員らが全国的に神社の文書を調べ、鯰絵に言及したものとしては最も古いことを確認した。賀茂神社には白ナマズが描かれた絵馬も保存されているが、この古文書の祈願に伴い、実際に鯰絵が奉納されたかどうかは分からないという。

 賀茂神社とナマズの関わりは、享保の大飢饉(ききん)(1732年)が起源。数年後に氏子たちが京都の下鴨神社に飢饉や疫病防止を祈願したところ、うち1人の夢枕にナマズが現れ、「食べたりせず大切に扱ってくれ」とお告げがあったと伝わっている。

 半田氏は「見つかった古文書は、江戸時代の市井の人々とナマズの関わりの深さを表している。ナマズを巡る民間信仰の変遷の研究にも役立つはずだ」と話している。

=2019/05/12付 西日本新聞朝刊=

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