【きょうのテーマ】お菓子作り学ぶ高校生 飯塚高校製菓コースを取材

西日本新聞

チームで考案したケーキの特徴を説明する生徒たち 拡大

チームで考案したケーキの特徴を説明する生徒たち

こども記者たちにアーモンドクッキーの作り方を実演してみせる林田英二先生 高校生にアドバイスを受けながらアーモンドクッキーを作る金森詩絵菜記者(右) 飯塚市の本町商店街近くにある「プチフル」 生徒たちが作ったお菓子を販売する店「プチフル」。お客さんを相手に接客を学んでいる プチフルにかざられているお菓子のオブジェ。生徒たちが1年間の勉強の成果をはっきして毎年作っている

 ●夢運ぶパティシエ目指して 練習重ね、イメージを形に

 お菓子は好きですか? 将来の夢がパティシエの人もいるでしょう。高校生のお菓子作り日本一を決める大会「スイーツ甲子園」で優勝した経験もある、福岡県飯塚市の飯塚高校製菓コースをこども記者が取材しました。

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 「飯塚は『お菓子の街』と言われています」。製菓コースの林田英二先生(42)が説明した。飯塚市は、江戸時代に長崎から各地へ外国産の砂糖が運ばれた長崎街道、別名「シュガーロード(砂糖の道)」沿いにある。同市をふくむ筑豊地域には石炭が採れる炭鉱もあり、力仕事で疲れた労働者が甘い物を好んで食べたそうだ。「ひよ子本舗吉野堂」や「千鳥屋本家」などこの地域発祥のお菓子会社も多い。

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 製菓コースでは90人の生徒が学び、そのうち3分の1ほどが放課後も製菓部員として活動している。お菓子を作る実習はもちろん、食中毒を防ぐための食品衛生や栄養についての授業もある。実習では和菓子やパンもふくめ、3年間で約150種類を作るという。

 生徒たちの現在の目標は7~9月にある「スイーツ甲子園」の予選を突破し、全国大会で優勝すること。実習室では白いコック服姿の生徒たちが、3人1チームでケーキの飾りを作る練習をし、制限時間内に完成させるための計画を作っていた。生徒たちは「自分の思い描いた通りにケーキが完成するとうれしい」と話してくれた。

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 「イチゴをメインに抹茶とリンゴを合わせた味」「ほうじ茶や米を使ったユニークな味」など、各チームが練習で作ったケーキを試食した。アイデアは過去に先輩が作った作品や本を参考にしているそうだ。

 私たちは、授業では1年生の終わりごろに作るというアーモンドクッキーに挑戦した。あらかじめ分量が量られた材料を混ぜ、鉄板に絞り出すだけなのに手が真っ赤になるほどの力仕事。生地を同じ大きさに絞る作業も集中力が必要で難しかった。林田先生は「練習あるのみ」と笑っていた。

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 生徒のみなさんの目標を聞くと、自分の店を持ちたい人もいれば、結婚式場に就職してウエディングケーキを作りたい人、動物も食べられるお菓子を作りたい人もいた。「お菓子は絶対に食べないといけないものではないけど、お祝いの時に食べるなど人を幸せな気分にしてくれる」と林田先生。「パティシエは夢や幸せを運ぶ仕事」という言葉を聞きながら、誕生日やクリスマスに家族と食べたケーキを思い出した。

 ●作ったお菓子はお店に 販売や接客学ぶ「プチフル」

 飯塚市本町商店街にある菓子店「プチフル」では、水、木、金曜日に飯塚高校製菓コースの生徒たちが作ったお菓子を販売している。クッキーなど焼き菓子が中心だが、取材に訪れた木曜日は週1回のケーキ販売日。午前10時の開店と同時に多くの客が来て、ガトーショコラやプリン、シュークリームがショーケースから次々と消えていった。

 何を食べようか迷っていると、「今の時季はイチゴをぜいたくに使ったケーキがおすすめですよ」。製菓コースの柴田衣織先生(24)が明るい声と笑顔で説明してくれた。普段は生徒も3人ほどが交代で店頭に立つという。「おいしいお菓子も接客次第でおいしくなくなる」と林田先生。生徒たちはマナー実習もするし、お菓子に込めた思いを言葉にする練習として毎日交代で1分間スピーチもする。

 「製菓コースは趣味ではなく、お菓子を製造・販売してお金をもらい、生活できるプロを目指している」。笑顔だった林田先生の表情が厳しくなり、私たちの背筋も伸びた。

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=2019/05/14付 西日本新聞朝刊=