高森町に「山野草の森」 50ヘクタール整備、折々に観賞会 環境保護団体代表の平野さん

西日本新聞

ヤブデマリの白い花を指す平野さん。夏には赤い実を付けるという 拡大

ヤブデマリの白い花を指す平野さん。夏には赤い実を付けるという

 山野草希少種の宝庫として知られる高森町で、自生する四季の山野草を楽しむ森づくりが進んでいる。環境保護団体「エコシステム協会」(熊本市)の代表理事を務める平野虎丸さん(81)が、4年前に個人で購入した山林50ヘクタールを整備。折々に観賞会を開き、自然愛好家を案内している。今月初めにサクラソウが見頃を迎えたほか、6月中旬にはベニバナヤマシャクヤクの観賞会が予定されている。

 県警事務職員だった平野さんは1980年代、野鳥の捕獲や売買、山野草の盗掘に危機感を募らせ、有志で保護団体を設立。針葉樹の伐採地に多様な広葉樹を植えたり、荒廃が進む牧野を賃借・購入したりする「トラスト運動」を進めるなど、山野草の保全に取り組んできた。

 山林は、阿蘇市波野地区と宮崎県高千穂町を結ぶ道路沿いの高森町尾下(おくだり)地区にある。熊本市の自宅を売却して購入した。「日本一花の森」と銘打ち、住居や休憩施設を建て、自ら重機を動かして遊歩道を整備している。

 「昔から変わり者でね。山野草や野鳥を『買う』『飼う』ではなく、ありのままの姿を楽しめる森にしたいと思った」と平野さん。サクラやモミジを植えた以外は、間伐して適度な日照を増やし、山野草の自生地を広げている。

 山を案内してもらうと、薄紫色の小花を咲かせたケルリソウ、ヤブデマリの白い花などに出合った。ウグイスや渡り鳥の鳴き声、キツツキが木を打つ音も聞かれた。サクラソウは、かつて野焼き後の牧野を広く彩ったが、愛好家や業者による乱獲が進み、自生地が少なくなっているという。

 平野さんは、スギやヒノキの植林ではなく、適度に伐採して自然木の自生を待つ「植えない森づくり」を提唱している。整備を進める「花の森」は、その実践の場。「多様な木々や草花、野鳥や虫が生息する森づくりは、豪雨災害にも強い森づくりにもつながる」と考える。

 森では7月、朱色の花を咲かせるツクシマツモトが見頃を迎え、8月にはヒメユリがオレンジ色の星形の花を咲かせる。「山野草を楽しみながら守るモデルの場所を作って、私も一生を終えたいと思っているんですよ」と話した。

 観賞会以外でも、来訪者を無料で案内してくれる。

=2019/05/15付 西日本新聞朝刊=

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