看護師長として新生児集中治療室に長く勤務した瀬上希代子さんには忘れられない親子の姿がある…

西日本新聞

 看護師長として新生児集中治療室に長く勤務した瀬上(せのうえ)希代子さん(福岡県)には忘れられない親子の姿がある

▼ある日、1人の赤ちゃんが低体温の治療のため入院した。入院にはもう一つの理由が。赤ちゃんには育ててくれる人がいなかったのだ。他の新生児は家族が会いに来てくれる。看護師たちは、面会のない赤ちゃんを抱っこしたり、目を合わせて話し掛けながら授乳したりして愛情を注いだ

▼担当の若い看護師は体重や身長の記録だけでなく、赤ちゃんがどんなにかわいいかをつづり、写真や手・足形と一緒に日記に残した。「大好きだよ」というメッセージを添えて。3週間後、赤ちゃんは乳児院に引き取られた

▼それから5年。笑顔の愛らしい少女と母親が病院を訪れた。5歳になったあの赤ちゃんだ。特別養子縁組で母親になった女性は、物心付いた娘に事実を伝え、生まれてすぐに入院した病院でとても愛されていたことを、看護師の日記を見せながら話したという

▼「愛されていたことの証しとなる日記を作ってくださってありがとうございます」。その言葉に、瀬上さんは人と人のつながりの奥深さと愛情を持って接することの大切さを思った

▼「忘れられない看護エピソード」(日本看護協会主催)の2017年度最優秀作品から。母の日と重なったが、12日は「看護の日」だった。看護に生涯をささげたナイチンゲールの誕生日にちなむ。

=2019/05/16付 西日本新聞朝刊=

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