宮若市「工場用地バンク」開設 民有地情報を収集、提供 進出逃さず造成リスク回避

西日本新聞 筑豊版

2017年に完売した宮若市の「磯光工業団地」 拡大

2017年に完売した宮若市の「磯光工業団地」

 宮若市は、民間から工場立地に適した土地情報を募り企業に提供する「工場用地バンク」を開設した。トヨタ自動車九州が立地する同市では、自動車関連企業の進出が続き、県などが整備した工業団地は全て完売。同市は県と連携した用地確保を模索するが、大規模な団地の造成には多額の費用と長い期間がかかる。バンクを通して、民有地と進出を希望する企業とを橋渡しし、好機を逃さないようにする。

 同バンクは4月に開設した。市は土地所有者などから工場用地の物件情報を広く集め、公式ホームページに掲載するなどして企業に提供。対象は市内のおおむね千平方メートル以上の土地で、市は物件の仲介・あっせんはせず、当事者間で交渉してもらう。

 宮若市は福岡、北九州両市の中間に位置し、九州自動車道のインターチェンジがある立地の良さもあり、自動車産業が集積。2015年の「製造品出荷額等」は約9990億円で、北九州市と苅田町に次いで県内で3番目に多かった。

 市内の工業団地は17年12月、県が造成した磯光工業団地(約18ヘクタール)への進出企業が決まり「完売」状態となった。「進出に関する問い合わせは年6、7件ある」(市まちづくり推進課)こともあり、市は新たな工場用地確保に向けて民有地の調査を実施、市議会の6月定例会に結果を報告する予定という。

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 宮若市が「工場用地バンク」を開設したのは、市単独での工業団地造成には大きなリスクが伴うからでもある。

 磯光のような20ヘクタール規模の工業団地は事業費(土地取得費を含む)が20億~30億円に上り、完成までに2~3年かかる。市単独で造成する場合、一般的に国や県からの補助もない。工業団地完成後、企業が進出すれば新規雇用を生み、税収も増えるが、景気後退などで企業が設備投資に慎重になれば、売れ残る可能性がある。

 直方市が10年8月に分譲開始した「上頓野産業団地」(約11ヘクタール)は、総事業費約16億円をかけて造成。だが、他地域との競争から販売価格を下げざるを得ない状況になり、7年後の完売時に9億5千万円の負債が残ったという。

 企業誘致を長く担当した宮若市の元幹部は「工業団地造成は、企業から注文があれば自治体も動けるが、企業も簡単に“約束手形”はきらない」と指摘。「財政規模が小さい自治体ほど、バンクでうまく民間活用できればリスクを避けられる」と有用性を語った。

=2019/05/17付 西日本新聞朝刊=

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