アマの拳追い37年、一冊に 佐賀市出身・高尾さん ボクシング写真集出版 120人の現役時と今 撮る

西日本新聞

37年にわたって撮り続けたアマチュアボクサーたちを一冊にまとめた写真家高尾啓介さん 拡大

37年にわたって撮り続けたアマチュアボクサーたちを一冊にまとめた写真家高尾啓介さん

かつて拳を交えた2人が再会した「今」も写している

 37年間にわたり、アマチュアボクシングを取材している佐賀市出身のカメラマン、高尾啓介さん(60)=東京都在住=が、集大成となる写真集を出版した。タイトルは「AFTER THE GONG」。現役時代だけではなく、引退後のボクサーたちの「今」を活写しており、高尾さんは「ボクシングの魅力を多くの人が知るきっかけになってほしい」と話している。

 高尾さんは同市大和町出身。逆転KOで人気を博した元世界ボクシング協会(WBA)フライ級王者だった大場政夫(故人)への憧れをきっかけに、龍谷高、中央大でボクシングに打ち込んだ。

 大学卒業後はリングを離れ、民間企業に就職したものの、やりがいを見いだせず約9カ月で退社。引っ越しや部屋掃除の手伝いで生計を立てる日々に「将来の不安を感じていた」。そんな時、手にしたのが新聞記者だった父、稔さん(故人)から譲り受けていたフィルムカメラだった。

 小学生のころは稔さんの取材によく付いて行った。カメラを構える父の姿を見て撮影の仕方を学んだ。懐かしい記憶を呼び起こしながら、中央大の後輩の試合を見に後楽園ホールに向かい、シャッターを切った。

 フィルムを出版社に持ち込むと評価は上々。プロと比べ、アマチュアの試合を写すカメラマンが少ないことも幸いした。高尾さんは「雑誌の編集者に褒められ、カメラマンになる勇気をもらった」。1982年、高校や大学といったアマチュア中心のカメラマン生活がスタート。リングで情熱をぶつけ合う選手たちを写すことが生きがいになった。

 還暦の節目にこれまでのライフワークを写真集にできないか思い立った。ボクサー生命は短く、その後、どう生きているのか-。アマチュア時代の写真が残る人の引退後を追った。

 道は多様だった。世界を飛び回るパイロット、リングドクター、警察官、出所者を受け入れる経営者。現役の世界王者に歌手も。写真集では2017年から約2年かけて取材した約120人の現役時代と今の姿が並ぶ。巻末にはそれぞれのメッセージも収録した。

 表紙は試合に敗れ、控室で涙を流す選手。「リングを降りたボクサーたちがその後の人生で何を得たか。一人一人の姿から感じてもらえたら」と高尾さん。写真集はB5判167ページ、税込み3240円。10日から全国の書店で販売。問い合わせは忘羊社(福岡市)=092(406)2036。

=2019/05/17付 西日本新聞朝刊=

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