西鉄流バス改革、ミャンマー OBら福岡コンビ、渋滞緩和へ奮闘 停留所整備、運行表作り指導

西日本新聞

バス停留所を複数に分散した後のヤンゴン中心部の道路。青いテントが停留所で、車がスムーズに流れている(今年3月、吉富実さん提供) 拡大

バス停留所を複数に分散した後のヤンゴン中心部の道路。青いテントが停留所で、車がスムーズに流れている(今年3月、吉富実さん提供)

ヤンゴン中心部の交差点にあった整備前の停留所。乗客が車道にあふれていた(昨年7月、JICA提供) 吉富実さん 白石悦二さん

 西日本鉄道(福岡市)のOBら2人が、福岡都市圏で培ったバス運行のノウハウを“輸出”し、ミャンマーの都市交通を変えた。急激な人口増に伴う渋滞が懸案となっている最大都市ヤンゴンで、西鉄流の手法を取り入れたバス停留所の再整備などを来年度までの3年計画で実行。市民の暮らしを支える「公共交通機関が担うべき規範意識」も、バス会社に芽生えさせようと奮闘を続ける。

 ヤンゴンの1日当たりのバス利用者は約284万人と、人口約550万人の半数以上。国内屈指のバス路線網を誇る福岡市でも27%にとどまる。都市鉄道が整っていないヤンゴンはバスが唯一の公共交通という事情がある。25の民間業者がバス6千台を運行し、乗客獲得のための追い越し運転や、無秩序な駐停車が横行していた。

 国際協力機構(JICA)は都市交通改善のため同国を支援。その事業を請け負う日本工営福岡支店の白石悦二さん(43)が、西鉄OBの吉富実さん(64)に白羽の矢を立てた。福岡都市圏の新規バス路線開拓などに20年間携わった吉富さんは「西鉄の経験を生かし、お客さまの喜ぶ顔をまた見られる」と快諾。昨年春からほぼ毎月ヤンゴンに赴き、現地の運輸局らと解決策を練ってきた。

 まず着手したのは、1日千台以上のバスが乗り入れる主要停留所の再整備。吉富さんらは福岡市・天神や博多駅前を参考に大通りの1カ所に集中していた停留所を改善した。車線変更が必要なバスは交差点の遠くに設けるなど、方面別の数十メートル置きに停留所を分散させた。二重、三重駐車は解消され、JICAの調べで停留所の停車時間は4分の1に、混雑時の一般車の速度も2倍になった。「バスを探して追い掛ける必要がなくなった」と喜ぶ市民の声が寄せられた。

 2人はバス業者に無理のない運行表作りなども指導する。吉富さんは「市民本位の安全性や利便性と、事業の効率化を共存させる公共交通機関が持つべき自覚も植え付けたい」。白石さんも「バス文化が根付いたヤンゴンに西鉄流を導入できれば、東南アジアのモデルとなる」と意気込む。異国での福岡コンビの挑戦は続く。

=2019/05/17付 西日本新聞朝刊=

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