フランスの原子力発電所に謎の飛行体が迫った…

西日本新聞

 フランスの原子力発電所に謎の飛行体が迫った。飛行制限を無視し、原子炉近くの使用済み核燃料貯蔵プールの建屋に衝突-。昨年7月の出来事だ

▼飛行体の外見は正義のヒーロー、スーパーマンにそっくり。正体は環境保護団体グリーンピースが飛ばしたドローンだった。原発は「空から簡単に接近でき、テロ攻撃に極めて弱い」ことを証明するためだったという

▼目的はどうあれ許されない危険行為だが、もし爆弾やミサイルだったらと想像すれば、ぞっとする。実際、高層ビルに旅客機を激突させる米中枢同時テロも起きた。攻撃を受ければ大惨事となりかねない原発である。テロへの備えは万全でなければならない

▼日本も人ごとではない。原子力規制委員会は、テロ対策施設が期限内に完成しなければ原発の運転を停止させる-と決めた。施設は航空機の衝突を想定し、原子炉を遠隔操作して安全を保つためのものだ。現状のままなら、九州電力でも川内、玄海両原発の4基が順次、停止することになる

▼電力各社は期限延長を求めている。だが、これは東日本大震災を踏まえて決めたルールだ。甘えを許さない規制委の判断は当然だろう

▼福島原発では震災前から津波襲来の恐れが指摘されていた。にもかかわらず対策は先送りされ甚大な被害を招いた。その教訓を忘れてはならない。恐ろしい飛来物から原発を守るスーパーマンは自ら生み出さねば。

=2019/05/17付 西日本新聞朝刊=

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