副収入が2900万円!製薬会社と医師の癒着をあばく日本初の試み

西日本新聞

 テレビでは、医療ドラマが花盛りである。そこには、患者は二の次で権力闘争に明け暮れる大学病院の医師が登場するが 、なぜ彼らが地位や出世にこだわるか、具体的に描かれることは少ない。ドラマでなくとも、医療の世界でお金が動いているであろうことは想像できる。しかし、大半の人は自分と関係のないものとしてしまっている。はたして、それでいいのだろうか。

 実は、製薬会社から利益供与を受けるほど、医師はその製薬会社の薬を処方する傾向があることがわかっている。こうしたことに関してはさすがアメリカで、ちゃんとした研究が存在するのだ。2010年には、法律が制定され、情報公開が義務付けられている。

 この動きは日本にも波及した。ところが、医師らが反対した上、製薬会社は「情報公開」と称しながら、何重にもガードして情報を簡単には閲覧利用できないようにしてある。見られたら都合の悪いデータだと自分たちで認めているようなものだ。2015年に朝日新聞一面でその実体が報道されたときには、圧力をかけて、続報が出ないようにしてしまった。

 そこで、このスクープを手がけた記者は独立し、探査報道を行うNGO法人を設立。「日本初のマネーデータベース」である「製薬会社と医師」を立ち上げた。本書はこのプロジェクトに協力する民間団体所属の医師によるレポートの形をとっている。

 それによれば、日本にいる約31万人の医師のうち、約9万8000人が講師や原稿執筆の名目で製薬会社から「謝金」をもらっている。そのうち95%の人は100万円以下の金額だったが、0・1%の人は1000万円以上もらっている。最高額は2900万円にもなるという。

 これらは医師の年収ではない。それとは別に直接ポケットに入る副収入だ。情報として明らかになっている分だけで、これである。医師がなぜ地位にこだわるか、理由がわかっただろう。こうして処方された薬を我々は飲んでいるのだ。


出版社:小学館
書名:知ってはいけない薬のカラクリ
著者名:谷本哲也
定価(税込):864円
税別価格:800円
リンク先:https://www.shogakukan.co.jp/books/09825344

 西日本新聞 読書案内編集部

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