6時間睡眠は徹夜よりも危険!?データに基づく健康の新常識が目白押し

西日本新聞

『教養としての健康情報「それ」本当に信じていいですか?』市川衛著 拡大

『教養としての健康情報「それ」本当に信じていいですか?』市川衛著

 仕事や家事・育児に追われて寝られないのは本当に辛い。同じ悩みを抱えている人は多いのか、「1日の睡眠時間は7~8時間がベスト」「寝溜めは効果がない」など、睡眠に関するさまざまな言説が各種メディアやSNSで連日のように発信されている。では、このことはご存じだろうか。「6時間睡眠でも、徹夜なみにパフォーマンスが落ちる」という衝撃の事実を。

 この根拠はペンシルバニア大学で行われた実験による。同実験では「徹夜」「8時間睡眠」「6時間睡眠」など睡眠時間別にグループ分けをし、注意力や集中力がどう変化するかのテストを行った。その結果、「6時間睡眠」グループは最初こそ成績に変化が見られなかったが、時間が経つにつれて次第に脳の働きが衰え、2週間後には「徹夜」グループと同じレベルにまでパフォーマンスが落ちたという。

 しかも、「徹夜」グループは強い眠気を感じていたのに対して、「6時間睡眠」グループはそれほど辛さを感じていなかったそうだ。つまり、「ちょっとだけ寝不足」の状態は、脳の働きが衰えているのにその影響を自覚しにくい。仕事中に思いがけないミスをしたり、運転中ハンドル操作を誤ったりするのではと考えると、徹夜よりもずっと危険なことに思える。

 このように「健康の常識」をことごとく覆してくれるのが本書だ。著者は10年以上健康・医療情報の取材を続けてきたNHKチーフ・ディレクター。ウソか真か分からない健康・医療情報が氾濫する今、「正しい健康情報を見極める目=健康情報リテラシー」が必要だという考えを元に、意外な健康情報を紹介しつつ見極めのポイントを明かしている。

 冒頭で挙げた睡眠の例以外にも「知らなかった!」と叫びたくなる話が豊富に収録されているが、中でも面白いのが「ほめられると脳の構造がどんどん変わっていく」という情報だ。脳卒中の後遺症を抱える患者を対象に行われた研究で、歩行を改善するためのリハビリをしたあと「ほめられた」患者は「ほめられなかった」場合より、歩行速度が25%以上も速くなったという。

 これは、速く歩いた時にほめられるとドーパミンという快楽物質が脳に放出されるため、ドーパミンをより得やすいよう脳が構造を変えていくからだと考えられている。まさに、「ほめられると人は伸びる」のだ。目からウロコが落ちっぱなしの本書、ぜひ一度手に取っていただきたい。


出版社:講談社
書名:教養としての健康情報 「それ」本当に信じていいですか?
著者名:市川衛
定価(税込):1,296円
税別価格:1,200円
リンク先:http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000318659

 西日本新聞 読書案内編集部

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