食の本質に中高生とともに迫る! 食べることをとことん哲学した本

西日本新聞

 食べることと生きることは切っても切り離せない関係にある。私たちは、食べることなしに生きることはできない。だが、「食べるとは何か?」と問われても、うまく答えることは難しい。『カブラの冬』(人文書院)や『ナチスのキッチン』(水声社)など、ユニークな著作で話題を集める著者が、8人の中高生と「食べる」をテーマに語り合った。本書は座談会の記録をまとめたものだ。議論の間には著者によるエッセイも収録されている。

 「今までに食べた中で一番おいしかったものは」といったシンプルな問いを皮切りに、「食べること」や「食べるもの」の価値や役割から「生命とは」「生きるとは」へと、哲学的な話題に発展していく。12歳~18歳の子どもとの議論は、簡単な言葉を使う分、より根源的なところにまで到達し、「おいしい」は人により異なること、生きものの命を奪うこと、人間は一本のチューブにすぎないこと、など、さまざまな様相を呈する。

 毎日食事をしながら、ふと考えることはないだろうか。このひとつの野菜が手元に来るまでにどれだけの人の手がかかっているのだろうと。家畜や野菜を育てる人がいて、それらを流通させる人、店に並べる人がいる。どこかが欠けても私たちの手元には食べ物が届かない。毎日食べられること、飢えを知らずに生きてこられたことは、当たり前ではないことを本書は教えてくれる。

 最年少のコーセイさんは、こんな感想を語っている。「食べ物を食べるということは、何かを殺して食べているということだから、そのことをちゃんと考えて食べられるようになろうと思いました」。「今までに食べた中で一番おいしかったものは」という問いに、フライドポテトのことを楽しげに語っていたところからのこの着地に驚かされる。8人の中高生と著者が次第に熱を帯び、目を輝かせる。その知的興奮が、臨場感たっぷりと伝わってくるのだ。著者のような先生が学校にいるとどれほど楽しいだろう。どれほど考えるきっかけをつかむことができるだろう。本書を読んでうらやましさを覚えるほどだ。「どうして?」「なぜ?」と突き詰めていく楽しさを、大人も子どもも一緒に味わっていただきたい。


出版社:農文協
書名:食べるとはどういうことか
著者名:藤原辰史
定価(税込):1,620円
税別価格:1,500円
リンク先:http://shop.ruralnet.or.jp/b_no=01_54017109/

 西日本新聞 読書案内編集部

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