九州の男性、感染増加傾向 前回の倍、若年層多く 10―16年調査

西日本新聞

 九州に患者が多い成人T細胞白血病(ATL)などの原因ウイルス「HTLV1」について、九州・沖縄で男性の新規感染率が上昇傾向にあることが、日赤九州ブロック血液センターなどの調査で分かった。前回調査に比べて男性は約2倍に上昇し、思春期から若年成人の「AYA世代」の増加が顕著だった。ATLの発症率は5%程度と低いものの、専門家は「感染拡大を防ぐため、ウイルスの特性の周知徹底や感染者への啓発など早期の対策が必要だ」と指摘している。

 2010~16年に九州・沖縄の8県で献血をした男女約40万人のデータを調査し、05~11年の前回調査と比較した。男性の新規感染率は0・043%で前回(0・022%)から約2倍に上昇した。一方、感染者が多い女性は微減だった。

 前回調査では男女とも年齢が高いほど感染者数が多い傾向が見られたが、今回は男性のみ1985年以降に生まれた若年層の感染が目立ち、91~95年生まれの新規感染率は全世代で最も高いと推測された。

 原因は不明だが、性交渉による感染が一因と考えられ、同センターの担当者は「女性への二次感染の増加が懸念され、対応策が遅れれば感染拡大につながりかねない」と指摘した。

 HTLV1は主に母乳を介して子どもに感染する。これまでは感染した母親に粉ミルク育児を推奨するなど、母子感染の予防対策に重点が置かれてきた。性感染については、長期間にわたって性交渉が続く夫婦間での感染が多いとされるが、子どもを持つことなどは可能で、感染が判明した男性にどのように啓発していくかが課題になる。

 日本HTLV-1学会理事長の渡辺俊樹・東京大名誉教授は「全国の傾向を調査する必要がある。性感染などの周知にも力を入れ、差別や誤解が起きないよう慎重な対策を進めなければいけない」と述べた。

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【ワードBOX】HTLV1

 白血球の一種のTリンパ球に感染するウイルス。自覚症状はなく、感染しても約95%の人は病気を発症しない。成人T細胞白血病(ATL)の発症率は約5%で、発症まで平均55年とされる。HTLV1関連脊髄症(HAM)の発症率は約0・3%で、発症まで20~30年とされる。2011年に国が総合対策を始めたが、ワクチンや発症予防薬は未確立。15年時点の国内感染者は推定で72万~82万人。

=2019/05/18付 西日本新聞朝刊=

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