ジビエ普及へ シカ肉加工施設 嘉麻市の本間、森本さん開設

西日本新聞 筑豊版

「しかや」(嘉麻市上山田)でシカ肉の加工を行う本間さん(右)と森本さん 拡大

「しかや」(嘉麻市上山田)でシカ肉の加工を行う本間さん(右)と森本さん

 嘉麻市の本間滋さん(35)と森本祥予さん(41)が同市上山田で、捕獲したシカを食用に処理する加工施設「しかや」を開設し、運営している。施設はもともと飲食店だった建物を2人で改装。地域で深刻な問題となっている有害鳥獣による被害の軽減を図るほか、捕獲された野生獣肉(ジビエ)の有効活用に向け、個人で運営する加工施設の普及を目指している。

 施設は、本間さんの祖父が経営していた食堂(延べ床面積約30平方メートル)を昨年7月から約3カ月かけて改装。内臓処理や加工、梱包(こんぽう)などを行う四つの部屋を設け、精肉まで全ての工程を行う。かかった費用は総額約100万円で、嘉麻市によると、加工施設の個人経営は珍しいという。

 本間さんはフランスの外国人部隊に所属していた経験があり、25歳の時に帰国。自身の技術を生かしたいと考えていたところ、北九州市で開かれた異業種交流会で「オーガニック食品」に関心を持つ森本さんと出会った。森本さんが高タンパクで低カロリーなシカ肉に注目していたことから2人は意気投合し、加工施設の開設を決めたという。

 シカを捕獲する際、2人はわなを使わず、猟銃で急所の頭や首を狙う「クリーンキル」と呼ばれる方法で仕留める。苦しむ時間を最小限に抑えることで肉の品質を維持するのが狙いで、より質の高い肉を提供するために毛が肉に触れないよう慎重かつ迅速に処理。加工した肉は現在、筑豊地区や北九州市などの飲食店や卸業者に販売している。

 嘉麻市によると、市の有害鳥獣駆除員が捕獲したシカの数は、2012年度の133頭から18年度には1043頭まで増加。市の担当者は「十数年前までは木の皮などを食べる林業被害や田畑を荒らす農作物被害が多かったが、近年は人口減少で人通りが減り、シカやイノシシが民家の敷地内に侵入するなどの生活被害も起きている」と話す。

 本間さんと森本さんは「加工施設が増えれば(捕獲された野生獣肉を)食肉として活用でき、被害防止にもつながる」と指摘。開設を検討している人に向けた情報発信にも力を入れており、会員制交流サイト(SNS)で施設の設計図や工事の過程などを、写真を添えて紹介している。2人は「積極的に情報交換を行い、アドバイスをしていきたい」としている。より専門的なアドバイスにはコンサルティング料が必要。

=2019/05/18付 西日本新聞朝刊=

福岡県の天気予報

PR

PR

注目のテーマ