堰付近の水難事故多発 小郡市の宝満川、小3死亡 深い水深、流れ速く

西日本新聞 筑後版

 小郡市の宝満川で16日、小学3年の男児2人が溺れ、1人が死亡した事故は農業用の堰(せき)で起きた。川に関する調査研究を行う河川財団(東京)によると、堰付近は流れが複雑で、全国で水難事故が多発している。筑後地区には筑後川や矢部川、その支流やクリークもあり、水辺は身近な遊び場だ。事故から子どもを守るため、専門家は「川に潜むリスクを理解させる教育が重要」と指摘する。

 小郡市によると、現場は農業用の「端間堰(はたまぜき)」。周囲に柵はなく、護岸も緩やかで児童の足で簡単に入ることができる。だが、同市教育委員会は、子どもの遊び場になっていたことを事故後に把握したという。

 小郡署や市教委によると、児童たちは水深が膝下程度の堰の上で遊んでいた。亡くなった男児は足を滑らせ、急に深くなる下流側に転落。救助された1人も助けようとして溺れた。

 河川財団の調査で2003~17年、堰付近で発生した水難事故は128件。同財団「子どもの水辺サポートセンター」の菅原一成主任研究員によると、流量が多い川の場合、堰の下流側では、水位の違いによる落差のため強力な渦が生じることもあるという。菅原主任研究員は「一見すると浅いと思った場所が深かったり、流れが速かったりするとパニックになって溺れることが多い」と説明した。

 小松利光九州大名誉教授(応用水理学)は「堰や橋脚など河川の構造物の近くは、思わぬ危険が潜んでいる可能性がある」と指摘した上で、「学校教育などで子どもたちに危険箇所を伝えるだけでなく、自ら危険を感じ取る能力を育てることが望ましい」と話した。

 市教委は事故を受け17日朝、緊急の園長・校長会を開き、地域の危険箇所を再度確認し、今後はそうした場所では泳がないことなどを周知徹底するよう確認した。

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遊泳禁止の根拠法なく

 男児が溺れて死亡した宝満川は、事故現場を含めて遊泳禁止の措置はとられていなかった。県河川管理課によると「川は原則、誰でも自由に使っていいもの。県の管理河川で県が遊泳禁止にしている区域はない」という。一方で、地元では事故を受け、現場周辺を立ち入り禁止にするよう検討する動きも出ている。

 同課によると、河川での遊泳を禁止する根拠となる基準や法律はない。事故防止のために注意喚起を行う判断は、自治体や行政区、学校など地元の関係者の判断に委ねられているのが実情だ。例えば「遊泳禁止」を決めて看板を河川敷に立てる場合、基礎工事などが必要なら管理者への占用許可申請をしなければならない。しかし、宝満川を管理する久留米県土整備事務所は「看板設置の申請はこれまでなかった」という。

 一方、現場の端間堰を管轄する市農業振興課は、今後は堰に立ち入らないよう注意喚起する看板とフェンスを設置する方向で、関係者と調整を始めると明らかにした。同事務所は「地元から看板を立てたいという相談があれば、協力したい」としている。

=2019/05/18付 西日本新聞朝刊=

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