佐世保市、事態把握に遅れ 米軍基地日本人警備員の銃携行問題 防衛省など連絡なし全駐労、職場改善訴え

西日本新聞

米海軍佐世保基地における銃携行問題の経緯 拡大

米海軍佐世保基地における銃携行問題の経緯

日本人警備員が銃を持って歩いた市道。フェンスの向こうは米軍基地

 米海軍佐世保基地の警備隊が5月上旬、日本人警備員に拳銃を持たせたまま基地外の公道を徒歩で移動させた問題で、佐世保市が事態を知ったのは16日の報道の後だった。警備員が加入する労働組合を通じて状況を把握していた防衛省から、連絡を受けていなかった。市の「基地対策」の課題が浮き彫りになった。

 「まだ事実確認中です」。16日午前、佐世保市基地政策局は電話が鳴りやまない様子だった。

 銃携行問題は同日の本紙朝刊が報じた。2日から10日にかけて、米軍が日本人警備員延べ15人ほどに拳銃を持たせたまま、市道を十数メートル移動させたという内容だ。基地政策局は16日時点で「防衛省や佐世保基地から連絡を受けていない」と話した。

 防衛省が銃携行問題を知ったのは4月19日。前日の18日、日本人警備員の責任者が米軍の指示を拒否。報告を聞いた全駐留軍労働組合(全駐労)の長崎地区本部が防衛省に伝えた。

 防衛省労務管理課は在日米軍司令部に対し、4月24日、5月7日は口頭で、5月8日は文書で、基地外での銃携行中止を要請。米軍は10日になって、ようやく携行を中止した。

 市基地政策局の担当者は「地元の自治体なので、報道より先に連絡がほしかった」とこぼす。これについて防衛省労務管理課は「米軍に抗議したとき、米軍も基地外への銃携行はあってはならないとの認識だった。事態はすぐにやむと思った」と説明する。

   ■    ■

 米軍基地の日本人警備員が基地の外で銃を持つのは日米地位協定、日本の銃刀法に反する可能性がある。全駐労長崎地区本部の職員は「あんな命令は今までなかった」と話す。

 防衛省によると、沖縄の米海兵隊基地に勤務する日本人警備員が2008年、基地の指示で銃を持ったまま基地間を移動する問題が起きた。それ以外に佐世保のような事例はない。

 西日本新聞は、全駐労長崎地区本部が佐世保基地警備隊の「就労環境の改善」を求める文書を入手した。今年3月7日付で、九州防衛局佐世保防衛事務所に提出している。

 文書は警備員が有給休暇を十分に取れないことやカメラでの監視、警備隊長のハラスメント行為などを訴えている。1月から3月までに、少なくとも4人の警備員が退職した。

 「昨年秋に警備隊長が代わり、職場環境がひどくなった。日本人警備員の扱いがひどく、米軍の仕事までさせようとした」。全駐労の組合員は証言する。

 佐世保基地の日本人警備員は約80人。司法警察官としての米兵のMP(ミリタリーポリス)とは立場が違う。全駐労の組合員は「日本人は日本の法律に従って働く。MPは有事になると時間帯を問わず任務に当たる。同じ職場でも違うシステムの中で働くので、あつれきが生じることもある」と話す。

 佐世保市が掲げる「基地との共生」の現場で、地元労働者が直面しているさまざまな問題。この情報も市に伝わっていなかった。

=2019/05/18付 西日本新聞朝刊=

PR

PR

注目のテーマ