避難所の運営 住民「共助」 手引書を作成 市と連絡体制 「役所頼らず地域守る」

西日本新聞

黒髪校区第4町内自治会の防災クラブが実施していた避難所内の間仕切り設置の訓練=2014年7月、熊本市 拡大

黒髪校区第4町内自治会の防災クラブが実施していた避難所内の間仕切り設置の訓練=2014年7月、熊本市

 災害時に住民主体で避難所が運営できるよう備える動きが広がりつつある。2016年の熊本地震では、行政職員がさまざまな業務に追われ、避難所での対応が十分にできず被災者の間に不満が募ったケースもあった。住民同士が助け合う「共助」が浸透すれば、避難生活の精神的、肉体的な負担の軽減にもつながり、行政側も他の復旧・復興業務に注力できるのではないかと期待されている。

 「避難所運営のマニュアルはあったが、地震の混乱で全く機能しなかった」。熊本市危機管理防災総室の川上秀人副室長(55)は、熊本地震当時の対応をこう悔やむ。災害発生時は市職員が避難所を開設するルールだったが、職員が避難所にたどり着けず、被災者が夜通し屋外で待機した地域もあったという。

 市が16年8月に実施したアンケートでは「役所の職員が勉強不足だった」「支援物資の配分が平等ではなかった」「プライバシーの確保が十分ではなかった」などの課題が挙げられた。その半面、避難所運営に関わったという回答は866人中、17%にとどまっていた。熊本県甲佐町の避難所に身を寄せた50代男性は「避難所で宴会を始めた人たちがいてうるさかったが、役場の職員も含めて誰も注意できなかった。みんなで話し合ってルール作りができれば良かった」と話す。

 一方、行政任せにせず、住民が助け合ってうまくいった事例もあった。熊本市中央区の黒髪校区第4町内自治会は、避難所開設から運営までを地域の自主防災クラブが担った。プールから引いた水をトイレに利用し、畳や段ボールを使ってプライベート空間を作った。日頃から防災訓練で備えていたという。クラブの交野富清会長(79)は「できるだけ役所に頼らず、地域住民の安全は自分たちで守らんといかん」と話した。

 熊本地震を受け、政府のワーキンググループが同年12月にまとめた報告書では「住民が主体となって避難所の運営体制を構築し、避難者、地域住民、市町村職員の役割分担を明確化することが望ましい」と提言。熊本市では17年度以降、市職員と地域の代表者らが避難所運営について話し合う「校区防災連絡会」が市内96地区のうち71地区で立ち上がった。

 福岡市も、17年度に避難所運営の手引を作成し「地域が主体となった避難所運営」と明記。施設管理者や自治会、市職員が連携し、年1回以上の防災訓練を実施することになった。同市西区の西都校区自治協議会の江口辰男防犯防災部会長(72)は「災害が発生した時、市が何でもやってくれると思っている住民が多い。その意識を変えていきたい」と話している。

=2019/05/19付 西日本新聞朝刊=

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