「日本最古の鋳造貨幣は?」と聞かれて

西日本新聞

 「日本最古の鋳造貨幣は?」と聞かれて、今も「和同開珎」と答える人はいるだろう。昔の教科書はそう書いていた。しかし現在では誤答。和同開珎以前に造られたとされる「富本銭」が確認され、最古ではなくなった。研究の進展に合わせ常識のアップデートが求められる好例だろう。

 だが世界文化遺産への登録が確実となった「百舌鳥(もず)・古市古墳群」をめぐる報道で、構成資産の一つの巨大墳墓が「仁徳天皇陵古墳」となっていて驚いた。「被葬者は本当に仁徳天皇か」などの議論が研究者の間でなされ、証明できないため教科書では「大山(だいせん)古墳」「大仙陵古墳」の表記が主流となったはずだが。

 報道で仁徳天皇陵古墳が出てくるのは推薦書の表記に合わせたためだろう。大山古墳と併記したものもあるが、「やはり仁徳天皇の陵墓」との印象は強まりそうだ。この流れで新しい教科書に仁徳天皇陵の記述が復活するのか。気になっている。 (塩田芳久)

=2019/05/19付 西日本新聞朝刊=

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