口永良部を学び支える 東京の高校ゼミ開設 島民と交流、振興策提案

西日本新聞 一面

島の地図を掲げた教室で、島おこしに向けた活動のアイデアを出し合う生徒たち=東京都文京区 拡大

島の地図を掲げた教室で、島おこしに向けた活動のアイデアを出し合う生徒たち=東京都文京区

島おこしのアイデアを島民に発表する生徒たち=昨年8月、鹿児島県・口永良部島

 東シナ海に浮かぶ人口約100人の鹿児島県・口永良部島(屋久島町)。この小さな火山島を題材にしたゼミを開設し、生徒が毎夏、現地で島おこし策を考える高校が東京にある。私立郁文館グローバル高(文京区)。都会とは異なる自然や生活を体験しながら、島の若者と議論し、提案する。その活動は島に溶け込み、2015年5月に起きた噴火災害からの復興にもつながっている。

 教室に島の地図を広げ、生徒たちが夏に現地で何をするかを話し合っていた。「島の魅力を探るため、島民の『豊かさ』の感じ方を調べてはどうか」「インターネットで流す島のPR映像を作りたい」…。

 同校には「ビジネス」「法と政治」などのゼミがあり、1、3年生が選択する。口永良部島ゼミは12年に開設。将来、各地の地域活性化を担える人材の育成が狙いだ。独特の自然や文化を学べることもあり、同島を学習の対象にした。8月に約2週間、ホームステイなどで滞在する。盆の祭りを手伝いながら島民になじみ、聞き取りをし、島おこし策を考える。

 昨夏は島で、島の振興をテーマにした「口永良部島未来会議」を、帰省した地元の高校生と一緒に開催。島の大人へのプレゼンテーションで、移住者を増やすPRの強化▽ネット環境の整備による教育基盤の充実や特産品の販売促進-などを提案した。島民の貴船森さん(47)は「私たちが気付かない視点の指摘が多かった。特にネットを積極活用するアイデアは、観光などの情報発信で復興を加速させるヒントになった」と話す。

 今年のゼミ生は13人。3年の羽田勇紀さん(17)は1年のとき、島では携帯電話やメールではなく、会って話す機会の多いことに驚いた。「濃密な付き合いが素晴らしいと思った。15年の噴火で死者を1人も出さなかった理由が分かった」

 3年磯谷菜々子さん(17)は1年のとき、火山と共生し、シカと道ですれ違う自然環境が「島最大の魅力」と実感した。この点をどう島おこしにつなげるかを今年は考えたいという。

 気をつけているのは、提案が「都会の上から目線」にならないようにすることだ。篠崎菜摘教諭(25)は「島民の話をじっくり聞くよう指導している。毎年の提案が、島の振興に少しでも役立ってくれればうれしい」と期待した。

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