HTB新体制 引き続き九州観光先導を

西日本新聞 オピニオン面

 長崎県佐世保市のテーマパーク、ハウステンボス(HTB)が、21日付で社長が交代して一つの区切りを迎えた。経営危機を乗り越え、海外客も訪れる集客施設に生まれ変わった。九州観光に確かな足跡を残し、新たなステージへの出発である。

 ここまでの道のりは平たんではなかった。計画されたのはバブル景気の真っただ中。2200億円を投じてオランダの街並みを再現し、自然との共生をうたう長期滞在型リゾート施設を目指して1992年に開業した。バブル崩壊の影響もあり、入場者は96年度の380万人をピークに減少していく。

 結局、リピーター(再来場者)を十分に獲得できず、2003年に行き詰まる。再建に乗り出した支援企業も数年でさじを投げ、福岡や九州の企業も支援に尻込みした。スペースワールド(北九州市)、シーガイア(宮崎市)なども同様に苦戦が続いていたから無理もない。

 こうした中、地元の支援要請に応じ10年にHTBを傘下に収めたのが旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)だ。創業者の沢田秀雄氏が社長としてHTBに乗り込み、陣頭指揮で1年目から黒字に転換させた。

 歌劇団の創設や、大規模イルミネーション、花火などの大型イベント導入で、にぎわいを取り戻し、台湾や中国からの誘客にも成功した。「観光ビジネス都市」を掲げ新事業にも挑戦した。ロボットが接客する「変なホテル」など、アイデアと行動力は目を見張るものがあった。

 ただ、再建後の入場者は15年9月期の310万人をピークに減少に転じている。昨年12月に公表した中国の投資会社からの出資受け入れ計画が頓挫するなど、沢田氏の神通力にも陰りが出ていた。HTBは長崎県、佐世保市が誘致を進めるカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の候補地でもあり、新社長の坂口克彦氏の下で上場準備を本格化させるという。

 とはいえ沢田氏は、九州の西の端で交通の利便性にさほど恵まれぬ立地でも、魅力を高め話題をつくれば人を集められることを実証した。失敗をいとわず新しいことに挑戦する姿勢は、観光産業に限らず九州の経営者を刺激したに違いない。

 九州には、豊かな自然や温泉、歴史など、大型施設以外にも各地に観光資源がある。規模の大小を問わず、HTBのような進取の気風で周遊型観光の輪を広げたい。秋のラグビーワールドカップ日本大会や来年の東京五輪・パラリンピックで訪日する客にアピールできる九州観光づくりのためにも、新体制のHTBには集客と経営姿勢の両面で先導役を期待したい。

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