石木ダム全用地取得へ 長崎県、強制収用可能に

西日本新聞 社会面

 長崎県と同県佐世保市が進める石木ダム(同県川棚町)建設事業の予定地について、県収用委員会が21日付で反対地権者に土地の明け渡しを命じる裁決を出したことが分かった。土地収用法に基づき、事業主体の県による強制収用が可能となる。明け渡し期限や補償額を記した裁決書は、近く地権者らに通知される。

 1975年に国から事業採択された石木ダムは一部地権者が建設に反対してきた。県は協議を重ねてきたがまとまらず、強制収用を選択肢の一つとして委員会に裁決を申請していた。

 委員会は2015年10月から17年8月、ダム本体の建設地の一部と、ダム中上流部に当たる約12万平方メートル(家屋13軒などを含む)の補償額の妥当性などについて審理を進め、21日に裁決。県は定められた期日までに地権者に補償金を支払う。明け渡し期限後は、家屋を含む建物を強制的に撤去、土地を収用する「行政代執行」が可能となる。

 石木ダムは慢性的な水不足が指摘された佐世保市の利水と、川棚町の水害を防ぐ治水を目的としているが、予定地で暮らす地権者の一部が必要性を疑問視し反対してきた。事業採択から7年後の82年、県が機動隊を投入して強制的に測量に踏み切ったこともあり住民らは強く反発。これまでに県が買収した土地は全体の81・1%で、残りが収用委の審理対象になっていた。

 裁決について反対地権者13世帯の一人、「石木ダム建設に反対する川棚町民の会」代表で町議の炭谷猛さん(68)は「町民の中にも反対意見が多く、誤った判断だ。土地を明け渡すつもりはない」と憤る。取材に対し同県の中村法道知事は「これまで通り、地権者に理解してもらう努力を重ねる」と述べるにとどめた。

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