17世紀の画家フェルメールの名画「窓辺で手紙を読む女」に…

西日本新聞 オピニオン面

 17世紀の画家フェルメールの名画「窓辺で手紙を読む女」に、別人が後から手を加えていたことが分かった。上塗りされた部分を取り除くと、キューピッドの上半身が現れた

▼恋愛の神が描かれていれば、女性が読んでいる手紙は恋文だと推察でき、絵画の解釈が一歩深まる。作者の死後、誰かが当時人気のあったレンブラント風にして高く売ろうと改作したのでは、と推測する専門家も。目先の利益のために作者の本来の意図が損なわれたとすれば、嘆かわしい

▼目先の利益で本来の外交方針を改作したのではないか。2019年版外交青書で、それまで明記されていた「北方四島は日本に帰属する」との表現が削られた。北方領土を巡る交渉でロシアを刺激しないためだとされる

▼方針転換は北朝鮮外交でも。「必要なのは対話でなく圧力」と言い続けてきた安倍晋三首相は看板を上塗り。条件を付けずに金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長との会談実現を目指すという

▼参院選を前に、得意の外交で成果を挙げたいという思惑か。相手のある外交は、時に駆け引きや臨機応変の対応も必要だろう。だが、基本方針を突然大転換するのなら、きちんと国民に説明すべきだ

▼もっとも、首相は自衛隊に関する憲法解釈を変えたり、選挙前に「新しい判断」と言って消費税増税を延期したりと、基本方針の上塗りがお得意だ。「政局で基本を変える男」は名画とは言えまいが。

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