孫は1万人に1人の難病…「優衣奈の将来のため」祖父の決意

西日本新聞 くらし面

自宅で優衣奈さんを囲む末永さん一家。左から雅子さん、和之さん、東亮二さん、麻衣子さん。右端は建設会社役員で雅子さんのおいの安辺哲徳さん 拡大

自宅で優衣奈さんを囲む末永さん一家。左から雅子さん、和之さん、東亮二さん、麻衣子さん。右端は建設会社役員で雅子さんのおいの安辺哲徳さん

 9年前、長女が初めて授かった子は、約1万人に1人といわれる子どもの難病だった。正直、最初は諦めかけた小さな命。だが身を削るように、わが子へ一心に愛情を注ぐ娘夫婦の姿に、建設会社会長の末永和之さん(76)=福岡市城南区=は目が覚めたような気がした。「孫のため、同じような子どもたちのために、自分も役に立てるかなあ、と思うてね」。目指すのは、重い障害者を支える福祉施設の開設だ。孫の優衣奈さん(9)を中心に、気が付けば家族の結束は、しっかりと強まっている。

 優衣奈さんは生まれつき、脳の形成不全がある小児慢性特定疾病の「全前脳胞症」。口唇口蓋裂もあった。長女の東麻衣子さん(39)と夫の亮二さん(39)が診断を告げられたのは、出産が近づいてから。重症なら生存率は高くないと伝え聞いた和之さんは、重い障害の子を抱える苦労を想像し、首を振った。「重症なら、延命措置は諦めてもいい」とさえ考えた。

 麻衣子さんは福岡市内の病院で3日かけて無事出産したが、病室で待機していた和之さんは看護師から会うよう勧められても「体が動かんやった」。妻の雅子さん(74)は娘と孫の元に向かった。どんな状態か、とにかく心配だった。涙ぐんで部屋に着き、目に飛び込んできたのは、ベッドの上でニコニコして優衣奈さんを抱く麻衣子さんの姿。2925グラムで生まれ、手も足も元気に動かしていた。

 「お母さん、見て。かわいいやろ?」。黙って横に座る雅子さんに、麻衣子さんは続けた。「かわいいやろ? 私ね、お母さんにいっぱい迷惑掛けると思うけど、もう、一生懸命育てるから、力を貸して」…。

 「甘やかして育ててきた」娘がもう、すっかり母の顔になっていた。「そうか。一生懸命育てればいいんだ。麻衣子と一緒に、頑張ればいいんだ」。雅子さんの心は落ち着いていった。

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