隣に高層マンション計画…建設止められる? 眺望、日照トラブル増

西日本新聞 一面

 核家族化や低金利を背景に、マンションの需要が高まっている。福岡市内でも地下鉄沿線を中心にマンション建設が増えており、国土交通省によると2018年の福岡県内の分譲マンション着工数は前年比28・6%増の5814戸だった。そんな中、同市中央区のマンションに住む男性(70)から「隣に高層マンションの建設計画が持ち上がり、バルコニーや部屋がのぞかれそうで不安。建設を止められないか」という声が届いた。解決法はあるのか。

 男性のマンションは約4年前に大手デベロッパーが建てた。13階建てで、外を一望できるルーフバルコニーが売りだった。ところが昨年10月、同じデベロッパーから、20階を超えるマンションを北東側に新たに建てるとの説明があった。この男性らルーフバルコニー付きの部屋8戸の住民は、建設位置をずらすようデベロッパーを相手取り福岡簡易裁判所に調停を申し立てた。男性は「このまま黙っておけない」。デベロッパーの広報担当者は「誠意を持って対応したい」とコメントした。

 福岡市内では、他にもマンション建設を巡るトラブルが発生している。

 福岡市南区の5階建てマンションでは、東側に9階建てマンションが建ち、一部の部屋は日中も冬場は日がほとんど当たらなくなった。5階建てに住む山口千津子さん(61)は「洗濯物が干しにくくなり不便。資産価値も下がる」と嘆く。

 9階建てを建てたデベロッパーは「建築基準法など法令は順守し、住民側の要望もできる限り取り入れている」とコメントした。

 九州大箱崎キャンパス跡地(同市東区)近くでは、学生が集会に使っていた「三畏閣(さんいかく)」跡に8階建てマンションの建設が進む。近隣住民と隣接する幼稚園は、日照権が侵害されると建設に反対した。

 建築紛争の当事者らでつくる「福岡・住環境を守る会」の代表世話人、池永修弁護士によると、福岡市内では約15年前に同様のトラブルが相次いだが、その後は年数件のペースに。だが昨年は6件ほど相談があり、増加傾向という。

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 では、このようなケースでマンションの建設を止めることはできるのか。池永弁護士は「建築基準法を違反していなければ、訴えを起こしても建設を止めることは難しい」と話す。現在の日本の司法判断では、眺望や日照、プライバシーといった権利より、土地を利用する権利が優先される傾向があるからだ。

 ただ、土地所有者の一定数の合意があれば、法が定める建物の高さや用途の基準を上乗せできる「建築協定」を前もって結ぶことで、住民の意にそぐわない建物の建設を防ぐことはできる。従わない場合は違反者を提訴するといった内容も盛り込める。

 また、住居専用や商業地域など用途地域の違いで、建築基準法が定める日影規制も異なるため、注意して土地を選ぶことも有効だ。

 日本の法律が時代に合っていないという声もある。マンション問題に詳しい不動産コンサルタントの長嶋修氏は「欧州連合(EU)諸国や米国、オーストラリアでは、自治体がマンションの建設を規制する権限を持っている」と指摘。その上で、「福岡のみならず、全国的にマンションの建設が相次いでおり、トラブルも増えるだろう。時代に即した法整備が必要だ」と話している。

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