天皇在位時代の上皇さまと上皇后美智子さまが

西日本新聞 社会面

 天皇在位時代の上皇さまと上皇后美智子さまが鹿児島県・奄美大島を訪問された16年前、現地で取材した。天皇の地方訪問は分刻みで決められた日程表通りに進む。にもかかわらず、ご夫妻が訪問先の施設で予定外に立ち止まる場面があった。

 「行きゅんにゃ加那(かな)」(行ってしまうのですか、いとしい人よ)。歓迎式典に招かれていた地元の児童30人が、会場を去ろうとするご夫妻に向けて突然、別れの島唄を歌いだした時だった。式典で児童たちは島唄を3曲披露し、美智子さまから「また聞きたいです」と声を掛けられていた。「アンコールに応えよう」。子どもたちの真っすぐな心が、ご夫妻の足を止めたのだ。

 列島の令和フィーバーも少し落ち着いた。象徴天皇という重責を全うし、上皇ご夫妻もこれからはゆっくりと、その旅路を振り返られることだろう。奄美の子たちのあの歌声も、きっと思い返されるに違いない。 (東憲昭)

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