諫干、7月に最高裁弁論 「漁業権消滅判決」見直しも 漁業者側が会見

西日本新聞

最高裁が弁論を開くことが決まり、記者会見する馬奈木昭雄弁護団長(中央)ら=24日午前9時59分、福岡市中央区 拡大

最高裁が弁論を開くことが決まり、記者会見する馬奈木昭雄弁護団長(中央)ら=24日午前9時59分、福岡市中央区

諫早湾干拓事業の開門問題を巡る動き

 国営諫早湾干拓事業(長崎県諫早市)を巡り、国が漁業者側に潮受け堤防排水門の開門を強制しないよう求めた請求異議訴訟の上告審で、最高裁が「開門を命じた2010年福岡高裁判決の確定後、漁業権が消滅し、開門を求める権利も失われた」とした二審福岡高裁判決を見直す可能性があることが24日分かった。漁業者側弁護団が福岡市内で記者会見して明らかにした。上告受理理由については、確定判決の拘束力についての主張が認められたとした。

 上告審弁論は7月26日にあり、最高裁は自ら結論を示すか、福岡高裁に審理を差し戻す。国勝訴の結論自体が見直されるかは不透明だ。馬奈木昭雄弁護団長は「最高裁は二審判決を破棄し、高裁に差し戻した上で漁業権を含めて議論することになるのではないか」との見方を示した。

 開門を巡っては、漁業者は国に開門を求めて提訴し、福岡高裁は10年、国に5年間の開門を命じ、確定。一方、昨年7月の請求異議訴訟の二審福岡高裁判決は「漁業者の共同漁業権が更新期限の13年8月に消滅し、開門を求める権利も失われた」と認定。確定判決の効力を事実上無力化した。

 漁業者側は「確定判決は13年以降も国が開門の義務を負うと認めているのに、漁業者の請求権が消滅したとする高裁判決は失当だ」と訴え、上告受理を申し立てていた。最高裁は今月22日付で、この主張についてのみ上告を受理、その他の主張は退ける決定をした。

 弁護団は、上告受理が認められたのは、過去の訴訟で確定した判断が、その後の訴訟の判断を拘束する「既判力」についての民事訴訟法の解釈が誤っているとする主張だったとした。

 干拓事業を巡っては、これらの訴訟のほか、営農者側が国に開門差し止めを求めた訴訟で長崎地裁は13年、開門禁止の仮処分決定を出した。「開門」と「開門禁止」の司法判断のねじれが生じ、問題は混迷。国は長崎地裁決定など福岡高裁確定判決後の事情変更を理由に請求異議訴訟を起こした。

「解決の道は和解しかない」 弁護団

 諫早湾干拓事業を巡る請求異議訴訟で最高裁が弁論を開くと決め、「開門命令」の妥当性が再び審理される可能性が出てきたことを受けて、24日に記者会見した漁業者側弁護団は「最高裁は合理的で常識的な判断をした。紛争の早期解決を期待したい」と語った。

 弁護団は、最高裁が和解協議について言及するのではないかと予測。馬奈木昭雄弁護団長は「事業は漁業者だけでなく営農者にとっての問題でもある。解決の道は和解しかない」と強調した。

 開門調査を命じた2010年の福岡高裁判決について、当時の菅直人首相が上告せず、確定した点に改めて言及し「時の総理大臣が判決を受け入れると国民に約束した。その約束と相反する国の姿勢は許されない」と述べた。

PR

PR

注目のテーマ