企画はあなた、イベントバー 福岡市の「エデン福岡」 仲間、別世界の人と出会い

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「マツゲ店長」と呼ばれ、「バーテンダー」の手助けもしてくれるオーナーの中山尚紀さん 拡大

「マツゲ店長」と呼ばれ、「バーテンダー」の手助けもしてくれるオーナーの中山尚紀さん

集まった人たちで演奏を楽しむ「セッションバー」の日の店内 ミラーボールの下で、客のカラオケに合わせてパジャマ姿で踊る「バーテンダー」の女性 出入り口にある黒板にはイベントバーの予定が書き込まれている

 西鉄天神大牟田線・雑餉隈駅(福岡市博多区)に近い飲食店街のビル2階に、夜な夜な若者が集まるスポットがある。店名は「イベントバー エデン福岡」。出入り口へ向かう階段の脇には黒板が置かれ、日付の下に「カレーバー」「VR体験バー」「耳をすませバー」といった文字が並ぶ。何なんだ、この店は。怪しげだけど気になるバーの正体を確かめてみた。

 カウンターとテーブル席が30席ほどの薄暗い店内。奥ではドラムやギター、キーボードなどを弾いて盛り上がる若い男性たちの姿が見える。演奏が終わると、酒を飲んでいた人と交代し、次の曲を披露する。この日は客が即興を奏でたり聴いたりして楽しむ「セッションバー」だった。別の日に訪ねると、客が歌うスタジオジブリのアニメ作品のカラオケに合わせて、パジャマ姿の女性が踊っていた。どうも「パジャマバー」の日らしい。

 オーナーで「マツゲ店長」と呼ばれる中山尚紀さん(23)=長崎県大村市出身=に店の仕組みを尋ねた。好きなバンドやゲームの話がしたい▽「コールセンター勤務」「保育士」「発達障害」など同じ境遇の人と語り合いたい▽料理の腕を披露したい-などの願望がある人が「1日バーテンダー」となり、お酒を出しながらイベントを開いているのだという。ジブリ作品のカラオケが響く中、中山さんが客と話し込んでいる。「何バーが良いですか? いつだったらできますか?」。その場で「絵描きバー」の開催が決まった。中山さんの勧誘だけでなく、客同士で意気投合しイベントが生まれることもある。

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 この店のユニークさは、手を挙げれば「1日バーテンダー」になれる点だ。店にはアルコールが用意され、別に飲食物を持ち込まない限り、費用負担はゼロ。売り上げが一定額を超すと「報酬」もある。酒の作り方は中山さんが教えてくれるほか、常連客が手伝ってくれることも。

 「セッションバー」などを開いた福岡市東区のミュージシャン秦優貴さん(31)は「自分で企画・集客して売り上げにつながるのは楽しいけど、赤字は怖い。エデンではその心配がほとんどないのが大きいし、日替わりでいろんな人が店に立つのを見ると、『自分も好きなことを生かしてイベントができるかも』と思えるんです」。

 同様の仕組みの「イベントバー エデン」は国内9カ所、海外に1カ所(タイ)ある。中山さんは他のエデンで音楽イベントバーを開いた経験があり、その後、エデン創業者のオーナー募集に応じ、九州で初の系列店として昨年10月、福岡店をオープンした。売り上げの一部を創業者に納める以外、経営方針はほぼオーナーに一任。福岡店には手作りのステージがあり、所狭しと楽器や音響機材が並ぶ。音楽系イベントが多いのは「ミュージシャンが音楽で食べられるよう応援したい」という中山さんの意向が色濃くにじむ。

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 お酒を楽しみながら共通の話題で盛り上がれるイベントを、手軽に企画できるエデン。「バーテンダーをすれば同じ趣味の人と出会いがあり、客としていろんなイベントバーに行けば、自分と違う世界に生きる面白い人たちと出会える」。これまで映画バー、特撮バーなど4回イベントを開いた大分県臼杵市の男性会社員(23)はエデンにはまった理由を語る。取材した日、彼は「就職活動のつらい時期に心の支えになった」という人気アニメ「プリキュア」にちなんだバーを開いていた。持ち込んだ玩具を手に、作品の魅力をマニアの客やそうでない客とも楽しげに語る姿そのものが、店の魅力を現していた。

メモ】「イベントバー エデン福岡」(福岡市博多区南本町1-3-11松隈ビル2階)の「バーテンダー」希望者は、店長のツイッター(@matsugepatapata)で問い合わせを。昼営業(午前11時‐午後5時、チャージ料なし)と夜営業(午後5‐11時、チャージ料最低500円)の二つの時間帯で空きがあれば申し込み可能。不定休。開催時間やチャージ料の変更は要相談。売り上げが昼は3000円、夜は1万円を超えた分の半額が「1日バーテンダー」の報酬となる。食材の仕入れ代金を店側が半額負担する制度もある。イベント日程など詳しくは店のツイッター(@EBE_Fukuoka)まで。

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