孫育て どう関わる? みんなのモヤもや会議

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孫に対する祖父母の考え 拡大

孫に対する祖父母の考え

孫育てで満足を感じるとき 子育て女性の祖父母に対する意識

 今月のテーマは「孫育て、どう関わる?」。子育て中の人にとって、育児を手助けしてくれる祖父母の存在はありがたいものです。一方、頼られ過ぎて体調を崩す「孫疲れ」という言葉も聞かれます。互いに気持ちよく子どもに関わっていくために、さまざまな工夫がなされているようです。

 ■祖父母の気持ち

 ●昔との違いに戸惑い/つい甘やかしてしまう

 主婦(69)=福岡市南区 働く娘には3人の子どもがおり、時々わが家で預かる。たとえ短時間でも、けがをさせないようにと気が張り、孫が帰った後はくたくたになる。風呂上がりに白湯(さゆ)を飲ませないなど、昔との子育ての違いに戸惑うことも多い。今の育児について知りたいと、福岡県が実施する「ふくおか子育てマイスター」の研修を受けた。学びを生かし、娘だけでなく地域の母親を応援したい。

 パート女性(72)=福岡県飯塚市 数年前まで2人の孫の世話で、多いときで週3日、往復2時間かけて車で行き来していた。娘夫婦は共働きで、急な発熱でもすぐ保育所に駆け付けられなかったから、私が急きょ同僚に仕事を代わってもらって。娘が入院したときは泊まり込んだが、孫はママでないと寝付けず、私も布団が慣れなくて眠れず、体がぼろぼろになった。孫が小学生になり徐々に手を離れたが、当時は死に物狂いだった。病児保育など、いざというときの選択肢がもっと増えたらいいと思う。

 主婦(72)=福岡市早良区 近所に住む次男は、昨夏から東京に単身赴任。次男の妻が大変だろうと、できる範囲で支えている。小学生の孫2人は週に2回わが家で宿題をし、私は夕飯のおかずを持たせる。次男夫婦の子育てに口は出さず、相談されれば応じている。

 アルバイト男性(69)=福岡県春日市 長女が仕事で遅くなるときは、小1の孫を預かったり、学童保育に迎えに行ったりしているが、とにかく楽しい。孫最優先でアルバイトを調整しているくらいだ。ただつい甘やかしてしまうので、わがままに育たないか心配。わが子の育児にはあまり関わらず、一緒に遊んだ記憶もほぼない。こんなに楽しいなら、もっと思い出をつくっておけばよかった。

 無職男性(64)=福岡市早良区 孫が3人おり、いずれも市内に住む。私も妻も両親の介護があり、孫育てにはあまり関われないが、週末には時々わが家で子どもや孫と夕食を囲む。「なるべく自分でさせる」が子育ての方針だったから、孫にも包丁を持たせ一緒に料理する。孫はかわいいが、甘やかさない。

 主婦(79)=福岡県小郡市 自身の子育ては、多くの人に助けられた。両親の介護で忙しいときは近所の友人が子どもを預かってくれ、夕飯を食べさせてくれた。今は近所の子に声を掛けることさえためらわれる時代。私の孫は大学生と高校生になり、祖父母の手を必要としなくなったが、進路の助言など、折に触れ関わっていきたい。

 ■預ける親の気持ち

 ●娘たちにとっても貴重な時間/疲れた姿見ると申し訳ない

 会社員男性(41)=福岡市南区 妻もフルタイムで働いており、遅くなるときは娘2人を自分の両親に預かってもらう。妻と決めているのは「両親のやり方に口を出さない」。炭酸飲料を飲ませようが、おもちゃを買い与えようが、預かってもらう間のことに一切不満を言わない。両親は、今のところ負担感より、孫に会えるうれしさが大きいようで、預かるのを楽しみにしてくれている。娘たちにとっても、親以外の価値観の中で過ごす貴重な時間だ。

 会社員女性(31)=福岡市南区 台湾出身で、日本人の夫との間に2歳の息子がいる。夫の両親は福岡県内に住むが、2人とも70代で、子守を頼みづらい。台湾では、子どもが3歳になるまで最大2年間の育休を取れると定められているが、実際は数カ月での復帰を求める企業が多い。保育所に入所できるまで預かってくれる祖父母の存在は心強い。友人の中には義父母に子守を頼む人も多い。

 会社員女性(39)=福岡市西区 シングルマザーで両親と同居している。フルタイム勤務で、遅いときは午後9時に帰宅する。会社には時短制度があるが、もしリストラがあれば、時短利用者が対象になるかもしれないと思うと利用できない。小1の娘が保育所に通っていたときは、母が毎日迎えに行ってくれた。母は責任感が強く、自分の予定も入れない。私には一切不満を言わないが、疲れた姿を見ると申し訳なく思う。

 パート女性(40)=福岡市早良区 小2と保育園児の息子がいる。長男が生まれる約2週間前に、母が病気で他界。夫の実家は遠方にあり頼れない。子どもの保育所送迎などを親にしてもらったり、経済的な援助を受けたりしている人を見ると、うらやましく思うと同時に、大人になっても自立していない親子関係を見ているようで腹立たしさも覚える。

 会社員女性(39)=福岡市博多区 夫、義父母、小学生の息子2人との6人暮らし。義父母は子育てに干渉したり、価値観を押し付けたりすることはない。義母も働いているが、平日は夕飯を作ってくれて助かっている。息子たちは義父母との生活を通し、お年寄りに対する思いやりの心が育まれていると感じる。

 ※図表はいずれも富士通総研が2016年に実施したインターネット調査を基に作成。東京23区内に住む、高校生以下の孫がいる50~79歳の男女150人、30~49歳の子育て女性150人が対象。複数回答

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 「孫がいて幸せ」と前向きに サイト「孫育のグチ帳」主宰、医師 石蔵文信さん(63)

 男性更年期外来で診察している。患者から孫育ての悩みを聞くことが増えたため、孫育ての愚痴を気楽に言い合えるサイト「孫育(まごいく)のグチ帳」を昨年7月に開設した。これまでに寄せられた愚痴の半分は、実の娘に対するもので「ここまで頼るか?」「感謝の言葉がない」などさまざま。実の親子は遠慮のない関係だけに、不満も募るのだろう。

 私にも3人の娘がおり、それぞれ家庭を持ってわが家の近所に住んでいる。平日は長女(36)の子ども3人を預かる。医師として働く長女にはキャリアを積んでほしい。娘たちが小さい頃は循環器外来にいて忙しく、育児を妻に任せきりだったことへの反省もある。

 孫育てをマイナスに捉えず「孫がいるだけで幸せ」と考えてほしい。年を取ると寝付きが悪くなるが、孫と遊んだり世話をしたりすれば、疲れて熟睡できる。

 祖父世代である70歳前後の男性は、家事は女性がやるものと考えてきた人が多く、育児や家事の支援も祖母が担いがちだ。高齢者が元気に過ごすためにも、男性の生活自立が必要と考え、料理や裁縫の教室を開いている。 (大阪市)

 子育て世代と高齢者 交流を 西南学院大人間科学部(家政学) 倉元綾子教授(64)

 家政学や家族生活についての研究では、孫と関わる祖父母の時期は、思い出を追体験しながら次の世代に実践的な助言をする時期と考えられている。子育ての経験がある祖父母の存在は心強いが、誰もが祖父母に頼れるわけではない。社会的に子育てを支える仕組みが必要だ。

 研究の一環で米国や台湾、韓国などを視察したが、台湾や韓国には、子育て中の母親が相談窓口に行けば、医療機関などにつないでくれるワンストップセンターがある。ひとり親家庭も増えており、夜間保育所も整備されつつある。社会全体で子育てをしようという意識があり、仕組みを整えている。日本では待機児童となった場合に祖父母に頼らざるを得ないなど、不十分な状況だ。

 「孫育て」のように祖父母世代が子育てに関わることは、子どもが情緒豊かに育つ上でも重要だ。米国や韓国ではスーパーマーケットなどで、社会との関わりが薄れがちになる高齢者と子育て世代が交流できる場をつくる取り組みがある。互いに孤立せず、地域全体が子育てに関わる社会にもつながると思う。

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