山鉾見送り幕の下絵寄贈 日田市の佐藤さん「祇園好きの父供養に」

西日本新聞 大分・日田玖珠版

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されている日田市の日田祇園祭の山鉾(やまぼこ)に飾る見送り幕の下絵2枚が、日田祇園山鉾振興会に寄贈された。同市中ノ島町の銘木商、佐藤重利さん(84)が「42歳で早世した父は力自慢で祇園好きだった。父の2倍は生きた今、供養にしたい」と思い立った。関係者が「見送り幕の下絵が残るのは非常に珍しい」と驚く歴史的価値の高い資料で、振興会は今後、公開方法を検討する。

 見送り幕は、山鉾の背後に掛ける豪華な装飾を施した幕で高さ約3メートル、幅約1・5メートルある。緋(ひ)色のラシャ地に金糸や銀糸の刺しゅうでワシや虎、麒麟(きりん)、唐獅子などが描かれたものがあり、山鉾をより美しく彩る。

 佐藤さんや市教育委員会によると、下絵は実際の見送り幕とほぼ同じ大きさ。鋭い爪で岩をつかむ雄々しいワシを描いたものと、滝を登るコイが迫力たっぷりに描かれたもので、30年ほど前に佐藤さんが骨とう品店などから手に入れた。

 日田祇園祭で豆田上町の山鉾が現在も使っている幕3枚のうちの2枚と図柄が同じで、江戸から明治にかけて製作された幕の下絵とみられる。ワシの下絵は入手当時、「明治廿五年」と墨書された木箱に、25枚の細切れになって入っていたといい、同市の表具師長嶋国介さん(83)がつなぎ合わせて掛け軸にした。

 佐藤さんは下絵の他に、パブロ・ピカソのリトグラフや、日田市出身の画家宇治山哲平が日田中学校(現日田高)のときに描いた山水画、私塾「咸宜園」門下生の書など約10点を市に寄贈した。21日に市役所で寄贈品を関係者に披露し「子どもの頃、父に山鉾に乗せられたことを思い出した。これでほっとした。いい心持ち。活用の方法は各所にお任せしたい」と語った。

 振興会の後藤稔夫会長(97)は「素晴らしい下絵でこういうものはなかなか残っていない。由来を書いて、日田祇園山鉾会館で展示したい」と話した。

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