徴用工訴訟 韓国は仲裁委受け入れよ

西日本新聞 オピニオン面

 日本企業に賠償を命じた韓国人元徴用工訴訟問題への対応を巡り、日本政府は日韓請求権協定に基づき、日韓に加え第三国の委員も入る仲裁委員会の開催を韓国側に要請した。

 韓国側は前向きな反応を示していない。23日に行われた河野太郎外相と韓国の康京和(カンギョンファ)外相との会談でも、河野氏が仲裁委開催を求めたが、康氏は「検討中」として同意しなかった。

 この問題では昨年10月、韓国最高裁が日本企業に対し、元徴用工という原告への賠償を命じる判決を言い渡した。日本政府は1965年の請求権協定で解決済みだと反論している。

 その後、原告側は韓国内の日本企業の資産を差し押さえ、売却手続きに着手している。今後、日本企業に実害が生じれば、日本側は対抗措置を取るとみられる。報復措置の連鎖となって、両国の経済に打撃を与える事態に発展する懸念もある。

 日本政府はこれまで2国間協議による問題解決を目指してきた。しかし韓国側が「三権分立の原則があり、司法判断に介入できない」として対応しないため、手続きの第2段階である仲裁委の開催要求に踏み込んだ。

 日韓間の仲裁委は過去に開催されたことはない。韓国側の同意がなければ開催は不可能で、現時点で文在寅(ムンジェイン)政権が開催に応じる可能性は低い。

 しかし、まず2国間で協議し、それで解決しなければ仲裁委の判断を仰ぐ、というのは両国が正式に締結した協定に明記されている問題解決のプロセスである。韓国側が応じないのは筋が通らない。韓国は仲裁委の開催に動くべきである。

 国家の利害が絡む問題では、お互いが自国に最も有利な論理を展開し、主張が正面からぶつかり合う。第三国を入れて「国際常識」の尺度による判断を聴くのは理にかなっている。

 さらに、議論の土俵を仲裁委に限定することで、両国の感情的対立がこれ以上深刻化したり、他の分野に飛び火したりするのを防ぐ効果もある。

 韓国政府は仲裁委の開催を理由に、原告側に日本企業の資産売却手続きをストップするよう説得に当たるべきだ。

 韓国が仲裁委開催に応じなければ、日本側の次のステップは国際司法裁判所への提訴となる。これも韓国の同意なしには始まらないが、日本側は淡々と準備を進める必要がある。

 日本側からすれば、韓国政府に日韓関係を適切に運営する意思が不足しているように見えるのが残念だ。個々の問題での対立が双方の経済活動や市民生活に悪影響を及ぼさないよう、冷静な対話で関係をコントロールするのは政治の義務である。

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