【小児がん 母と娘の闘病日記】(13)娘から 退院の日の作文は私の原点

西日本新聞 医療面

退院翌日。弟(右)と自宅で過ごせて幸せでした 拡大

退院翌日。弟(右)と自宅で過ごせて幸せでした

 2009年6月、白血病の治療中、突然脳に異常が起こりました。少しだけ覚えていますが、長い長い悪夢を見ているような、自分が自分じゃないような気がして怖かった。あんな日々があったなんて…。両親の日記を読み返すたびに「元に戻って良かった」と思わずにはいられません。

 脳の異常が治ってから退院するまでは、仲良し4人と同じ病室でした。勉強や遊び以外にも、庭に出て植物を眺めたり、かつらを作るため採寸してもらったり、日食を見たり。目立った副作用もなく、穏やかな楽しい日々でした。

 そして迎えた退院の日。私は、見送ってくれる看護師さんや友達の前で、入院生活をまとめた作文を朗読しました。祖母に勧められ、コンクールに出すつもりで書いたもの。「人は助け合って生きている」「元気なときは当たり前だったことがどんなに幸せなことだったか」。病気になって初めて学んだことを原稿用紙に込めました。

 初めて自分の経験を通して小児がんについて発信しました。このときから「小児がんのことを多くの人に知ってほしい」という思いは変わっていません。講演やイベントなど、さまざまな啓発活動をしている今の私の原点かもしれません。

 退院すると、夏休みの真っ最中。自分で書いた日記が残っていますが、弟と遊んだり、家族で出掛けたり。退院直後からいろいろと楽しんでいたようです。

 通院や地元の小学校での補習など、やらなければならないこともいっぱい。入院中も勉強はしていましたが、できることや時間が限られていたし、具合が悪い時もあったので、健康な友達に追いつくのはなかなか難しかったです。母は私の病気が再発するんじゃないかと不安だったみたいですが、私は忙しくて、そんなことを考える余裕もありませんでした。

(山本芙優=北九州市立大3年)

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