ふるさと納税自治体で明暗 久留米市半減国の規制響く 筑後地区

西日本新聞 筑後版

 2018年度に筑後地区の12市町に寄せられたふるさと納税の寄付額は、前年度比で大木町は約12倍、小郡市は約5倍と大幅に伸びた一方で、久留米市は半減していたことが西日本新聞社の取材で分かった。総務省が過度な返礼品への規制を強める中、意外な理由も相まって、各自治体への寄付額は明暗が分かれた形だ。12市町への寄付の総額は約49億8500万円に上り、17年度を14億円余り上回った。

 「全く想定していませんでした」。大木町の担当者は、寄付額の急増に驚きを隠さない。人気のブランドイチゴ「あまおう」や大川家具をはじめ、返礼品の品数を600点近くまで増やすなど地道な努力を続けていたが、昨年9月の北海道胆振東部地震で震度7の揺れに見舞われた厚真町のふるさと納税の事務代行をしたことが転機となった。

 厚真町と姉妹都市などの関わりがあったわけではないが、被災地の力になろうと支援を申し出たところ、ふるさと納税サイトのトップページに大木町の活動が大きく紹介された。「埋没していた町名の露出度が一気に高まった」と担当者。事務代行した厚真町への寄付は約1千万円だったが、それをはるかに超える寄付が集まる結果となった。

 また、医師や弁護士など高所得者向けの雑誌に広告を掲載したことも、高額な寄付につながったという。

 小郡市は、17年度当初に30点だった返礼品数を10倍以上の377点まで拡充し、提携するふるさと納税サイトも増やしたことが奏功した。寄付額が2倍近くになった大刀洗町は、サイトに掲載する写真の見栄えを良くするなどの工夫を重ねたという。

■失った“稼ぎ頭”

 一方、久留米市は人気の返礼品だった自転車を17年9月に取りやめたことが、18年度も大きく響いた。寄付額の半分を稼ぎ出す「稼ぎ頭」だったが「資産性が高い」として返礼品から外すよう求めた総務省の通知に従った。市の16年度の寄付額は約20億円で、この2年で4分の1になった。

 さらに「返礼品は地場産品に限る」とした総務省通知に対応するため、市はスポーツ用品(ゴルフ、テニス)や九州産黒毛和牛などを今月末で取りやめる。スポーツ用品は、18年度の寄付額の4割に当たる約2億5千万円を集めた人気の返礼品で、自転車に続いて稼ぎ頭を失うことになる。

 久留米市は、タイヤメーカー「ブリヂストン(BS)」発祥の地。自転車やスポーツ用品は、県外にあるBS関連会社の商品で、残るBSゆかりの返礼品は、車のタイヤだけとなる。市担当者は「スポーツ用品を市の記念品として返礼品に復活できないか検討している。豊富な農産品や豚骨ラーメン、地酒など、地場産品にも強みがある」と、寄付増額を目指した模索を続ける。

■厳格化に戸惑い

 ふるさと納税を巡っては、総務省の通知に従わない一部の自治体が、返礼率の高い金券やネット通販サイトで使えるポイントを返礼品にして多額の寄付を集めたことが問題となった。総務省は、過度な返礼品競争を是正するために地方税法を改正して制度の運用を厳格化し、違反した4市町を制度から除外した。

 筑後地区の自治体からは「返礼率が高い自治体を総務省が公表したことで、かえってそこに寄付が集まったのではないか」(広川町)など、結果的に違反自治体が得をしたという指摘が複数あった。

 総務省の方針に対し、小郡市の担当者は「運用を厳しくすることで、同じ土俵で寄付者に選んでもらえる」と一定の理解を示すが「逆に埋没する恐れもある」と危惧。一方、大牟田市の担当者は「制度から除外されるので従うしかない。税収確保のため最適な地場産品を見つけるしかないが、なかなか難しい」と語った。

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