「米国はTPPに縛られない」 妥結へ要求激化、トランプ氏布石?

西日本新聞 総合面

 トランプ大統領は今回の訪日で安倍晋三首相から厚遇を受け、一日も早く決着したい日米貿易交渉の妥結を参院選後まで先送りする配慮を示した。だが農業分野では中国との貿易摩擦の激化もあり、米国内では農産品輸出減への懸念が増大。トランプ氏が輸出拡大につながる厳しい要求を日本に突き付けるとの指摘が絶えない。貿易不均衡是正へ防衛装備品などの購入をさらに迫る可能性や、いずれは在日米軍の駐留経費負担(思いやり予算)増額も持ち出すとの見方もくすぶる。

 27日の記者会見でトランプ氏は、天皇陛下の即位直後、国賓として招かれたことに「歓迎を受け、全ての日本国民に感謝したい」と述べ、時折、満足そうな表情を浮かべた。

 ただし、日米貿易については「信じられないほど大きな不均衡が長年にわたって続いている」と批判し、公約である貿易赤字削減に強い意欲を表明した。

 米国が離脱した環太平洋連携協定(TPP)などの発効後、関税率で不利な状況になっている牛肉について早急な税率引き下げを求めた上で、TPP水準を限度とする日本の主張に対し「他国がTPPで決めた内容に、米国は全く縛られない」と強調するなど、大幅な譲歩を迫るとも受け取れる姿勢を見せた。

 来年の大統領選に向けた支持固めのため、今後、日本車や自動車部品への高関税措置もちらつかせて圧力を強める展開も予想される。ただ、こうした措置には米国内の消費者や経済界などの抵抗が強く、実際に踏み込めるかは不透明。対日交渉で大きな成果が得られない事態も否定できない。

 このためトランプ氏は、米国産の防衛装備品やエネルギーの一層の購入や、日本企業による対米投資の積み増しを求めるほか、大統領当選前から問題視している思いやり予算の増額についても「来年の選挙前までに合意を取り付け、有権者にアピールしようとする可能性がある」(米政府関係者)との指摘が上がる。 (ワシントン田中伸幸)

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