「証拠隠し」断罪に歓喜 布川事件賠償命令 「冤罪被害者の力に」

西日本新聞 社会面

 なりふり構わず有罪に持ち込もうとする捜査側の手法を「断罪」した司法判断に、無実の罪で29年間の勾留、服役を強いられた桜井昌司さん(72)=水戸市=は廷内で何度もうなずいた。27日、「布川事件」を巡る国家賠償訴訟判決は、検察による「証拠隠し」の違法性を正面から認定。支援者や弁護団は「画期的だ」と興奮気味に繰り返した。

 「冤罪(えんざい)の被害者になり、検察が証拠を隠さなければ無罪になる事件はたくさんあることを実感した」。判決後の報告集会で、桜井さんは力を込めた。

 再審無罪が確定した熊本県の松橋事件、3次にわたる再審請求で計3回の開始決定を受けながら、検察側の抗告で最高裁の判断を待つ鹿児島県の大崎事件…。有罪にするには都合の悪い証拠を捜査側が隠し、弁護側の請求に対してもかたくなに開示を拒む、というケースは数多い。それが今も、再審の壁を厚くしている。「判決はきっと他の『冤罪仲間』たちの力になる」。桜井さんはこう言葉を継ぎ、期待を込めた。

 谷萩陽一弁護団長は、判決が「裁判の結果に影響を及ぼす可能性が明白とは言えない証拠でも、検察官は開示義務を負う」と認めた点に着目。「拒否する合理的な理由がない限り、出さないのは違法とまで言ってくれた」と高く評価した。

 この日の判決には、鹿児島県の「志布志事件」で自白を強要された川畑幸夫さん(73)=同県志布志市=も駆けつけた。「証拠を出さなければ、賠償責任を問われることがはっきりしたのは意義が大きい」と喜び合った。

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