ES細胞で卵子のもと作製 九大が世界初、休眠状態実現 不妊治療開発一助に

西日本新聞 社会面

 さまざまな組織に変化する「万能細胞」の一種、胚性幹細胞(ES細胞)を使い、生体内と同じように休眠状態の原始卵胞を体外培養することにマウス実験で成功したと、九州大医学研究院の林克彦教授(生殖生物学)らの研究チームが27日、発表した。不妊の原因解明など治療法開発に寄与するという。週内にも米科学アカデミー紀要電子版に掲載される。

 林教授らは2016年、マウスの人工多能性幹細胞(iPS細胞)から体外培養だけで卵子を作り、受精・出産させることに世界で初めて成功。ただ、体外培養した卵子は通常の卵子に比べて受精率が劣っていた。

 卵子のもとになる原始卵胞はほとんどが休眠状態で卵巣内に貯蔵されているが、体外培養では発育を続けてしまう。チームは休眠状態が生殖機能に関係しているとして、体外培養でも休眠状態をつくることに着手。体外培養と通常の原始卵胞の遺伝子を解析、比較し、酸素濃度5%で培養すれば休眠状態になることを突き止めた。世界初という。

 これにより、卵胞が活性化して卵子となるメカニズムの研究などが可能となり、卵子を作れないといった不妊の原因解明につながる。また、卵胞を活性化する薬の効果や副作用の試験も容易になる。中心となった島本走研究員は「今後は休眠状態にした卵胞の再活性化や、受精・出産の可能性などの研究を続けたい」としている。

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