市民と行政の橋渡しに 平戸市まちづくり市民委員会 公約検証や自治活動支援

西日本新聞 長崎・佐世保版

 市役所と市民の橋渡し役になろう‐。ささやかな使命を胸に、平戸市の有志が「平戸市まちづくり市民委員会」を結成して10年近くになる。その活動は市長の選挙公約検証から、地域コミュニティー活動の定着へと幅を広げている。選挙をきっかけに身近な政治や行政に主体的に関わる姿勢は、統一地方選を終えたばかりの地域の参考になる。

 活動の源流は、2009年の平戸市長選を前に北松浦青年会議所が主催した立候補予定者の公開討論会。青年会議所は2年後、公募に応じた市民と協力して黒田成彦市長の公約の中間検証に取り組んだ。その活動を引き継ぎ、有志が11年に結成したのがまちづくり市民委員会だ。

 公約の検証は、行政改革や福祉などのテーマ別に市役所の担当課にヒアリングを重ね、市民にアンケートをして政策効果を実感しているかどうかを聞いた。

 「その過程で行政と市民の温度差が分かった。行政と市民の歯車をスムーズに回す潤滑油になりたいと考えた」。市民委員会代表の大村謙吾さん(46)は振り返る。青年会議所OBでキノコ栽培・販売会社を営む。

 活動は公約の検証にとどまらない。雇用や子育て、定住などをテーマに、若い世代と市長が意見を交わす場をつくった。平戸を代表する観光施設であるオランダ商館を中学生に見学してもらい、子どもにとって分かりやすい施設かどうかも点検した。

 近年は黒田市政が力を入れる地域コミュニティーづくりに重点を置く。市は小学校区を単位とする地域に「まちづくり運営協議会」をつくってもらい、自治活動を後押しする。

 市民委員会は「主体は行政ではない。市民が動かないと機能しない。双方が協力する機運を高めよう」と行動を起こした。

 17年2月、福岡県宗像市や熊本市の先進例を紹介するフォーラムを開催。今年2月には市の協力で、9地域に発足したまちづくり運営協議会の活動発表会を企画した。「TTP(とことんぱくる)五輪」と遊び心のある名前にして、草刈り支援や高齢者の見守りなど、参考になる取り組みは互いにまねようと呼び掛けた。

 市民委員会の中心は40代から60代の約10人で、職業はさまざま。月に1度集まり、意見を交わす。

 「市役所にきついことを言うこともあるが、活動を応援してくれる職員もいるから続けられる。地域の課題を多くの市民が共有できるようにしたい」。住職の今川亮生さん(65)はやりがいを感じている。

 これまでの活動は、優れた地方自治活動を表彰するマニフェスト大賞の市民部門で表彰され、高い評価を得ている。公開討論会からずっと支援しているローカル・マニフェスト推進ネットワーク九州の神吉信之代表(福岡市)は「市民と行政の対話にすごく役立っている。地道な活動を10年近く続けていることに頭が下がる」と話す。

 「自分たちは特別ではない。活動してみると、行政や政治の良い面も悪い面も感じられるようになった」と大村さん。次のテーマは議会。6月下旬に平戸市でフォーラムを開催する準備を進めている。

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