ステッカー、名演の記憶 プロ、高校生…25年かけ 福岡シンフォニーホールの舞台袖に200枚 

西日本新聞 もっと九州面

 国内有数の音響設備を誇る福岡市中央区天神の福岡シンフォニーホールの舞台袖に約200枚ものステッカーが張られている。ウィーンフィルハーモニー管弦楽団など世界的なオーケストラから地元高校生まで、内外の音楽家たちがコンサートの記念に残した。25年目に入ったシンフォニーホールの歴史を物語る証人でもある。

 シンフォニーホールは、1995年オープンの大型複合施設「アクロス福岡」を代表するクラシック専用ホール。今月末まで改装工事中のホールをのぞくと、色とりどりのステッカーが舞台袖の左右の柱などに所狭しと張られている。既に脚立に上らないと届かない位置にまで達している。

 3枚もあったのが同ホールで96年、2004年、09年、14年と過去4回公演をしたウィーンフィル。小澤征爾さんが指揮した1996年はステッカーを持参していなかったのか、柱に近い反響板の裏に「WPH96」のサインがある。

 音楽家らしいステッカーはドイツのワイマール交響楽団。バッハ、リスト、フンメル、リヒャルト・シュトラウスと4人の作曲家の肖像画を並べた。フランスのトゥールーズ・キャピタル国立管弦楽団のステッカーには、本拠のキャピトル劇場とみられるイラストが描かれている。

 ホール関係者が鮮明に記憶するのが03年10月29日の米シカゴ交響楽団の公演。前日公示された衆院選で当時の小泉純一郎首相が遊説に訪れた福岡市内では各所で渋滞が発生し、観客はもちろん演奏者までも「大遅刻」の異常事態になった。

 コンサート好きで知られる小泉氏も、そんなことが起きていようとは想像外だっただろう。公演は数十分遅れて始まったが、帰りの時間も気にせず熱心に聴いた観客とホールへの感謝の意味も込めて楽団はステッカーを残していった。

 最近はアジア勢の活躍も目立つ。韓国人の世界的指揮者チョン・ミョンフンさんが率いたソウルフィルハーモニーオーケストラのステッカーもある。改装後の6月9日にはミョンフンさんの息子チョン・ミンさんが指揮するイタリア交響楽団の公演も予定される。

 国内組では、プロ野球の広島東洋カープの応援キャラクター「カープ坊や」がバイオリンを弾く図柄の広島交響楽団がユニーク。06年に制作したCDの購入特典用に作ったため、縦じまの古いユニホームだ。

 最近、増えているのがポップス系の歌手とオーケストラのジョイント。九州交響楽団と共演した藤井フミヤさん、玉置浩二さんのステッカーも張られている。変わり種は10、11年に落語会を開いた桂文珍さんのステッカーか。

 地元の高校生も負けていない。全国区になった精華女子高校、同ホールで定期演奏会を開く福岡工大城東高校の両吹奏楽部は、人気の高いシエナ・ウインド・オーケストラと並んでステッカーを張った。さらなる高みを目指す意気込みか、プロ楽団へのあこがれか。

 02年からアクロス福岡事業部に勤務するプロデューサーの小牧達彦さん(47)は「ステッカー一枚一枚に公演の記憶が刻まれている。シンフォニーホールの歴史であり、財産でもあります」と話す。

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 ステッカーは通常は見学できないが、毎年秋に開催する「アクロスクラシックふぇすた」の一環として行うバックステージツアーで一般に公開している。今年は10月5、6両日の予定。

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