橋本さん、米国作曲大会で特別賞 福岡市のジャズピアニスト

西日本新聞 ふくおか版

 福岡市在住のジャズピアニスト、橋本芳(かおる)さん(39)が作曲した「シューティング・スター」が4月末、世界的な米国の作曲大会「インターナショナル・ソングライティング・コンペティション(ISC)2018」で審査員特別賞に輝いた。大分県九重町で見上げた星空から着想し、アップテンポに仕上げた自信作の受賞。確かな手応えをつかんだ橋本さんは、夢を膨らませる。「いつの日か、自分の曲をオーケストラに演奏してもらいたい」‐。

 ISCは米国で18年を数える大会で、審査員には米音楽界最高の栄誉とされる「グラミー賞」の受賞者が名を連ねる。審査はフォークやロック、R&Bなど24分野に分かれ、今回は140カ国から約1万9千曲がエントリー。初めての応募だった橋本さんはジャズ分野で、審査員特別賞12曲の一つに選ばれた。

 「自然から曲のインスピレーションを得ている」という橋本さん。受賞曲の「シューティング・スター」のモチーフは、九重の夜空に瞬いた流れ星。「流れ星は一瞬で消えてしまう。この曲は一瞬たりとも聞き逃されないようにしっかり届けたい」。約3年半前に手掛けた2分38秒の曲は、途中に大胆な旋律の変化を組み込み、聴いている人の感性に強く訴えかけてくる。自身がピアノを奏で、演奏仲間がベースとドラムを担当し、録音した。

   □   □

 橋本さんが本格的にピアノを始めたのは、18歳の時。佐賀大の音楽サークルに入部し、メンバーから手ほどきを受け、定期演奏会で披露した。聴衆から送られた拍手を楽しく感じ、ピアノの奥深い世界にどんどん入って行った。

 その後、鹿児島大の大学院で学んでいた04年、末期がんの患者が暮らす佐賀市のホスピスからピアノ演奏の依頼を受けた。与えられた時間は約30分間。「患者さんにとっては30分でさえ、とても貴重な時間。どの曲を弾いたらいいのか…」。迷い抜いて出した結論は「真剣に思いを届けるため、自分で曲を書こう」だった。

 1カ月をかけ、キーボードでバラード曲を作り上げた。タイトルは「軌跡」。曲の最後は、明るく優しいメロディーにした。「曲を聴きながら来し方に思いをはせ、いい人生だった、と思ってもらえるように」。本番では患者の反応を確かめる余裕もないほど、一心不乱に鍵盤に向かった。

   □   □

 このホスピスでの出来事が、作曲活動の原点になった。13年には、東日本大震災で被災した福島県の病院から「震災が残した傷に立ち向かっていく曲を」と相談され、4分間のバラードを作曲して贈るなど、オリジナル曲は30ほどに増えた。今は、九州各地の小学校や医療機関、高齢者施設を回り、ピアノの音色を届けている。

 ISCという世界の舞台でジャズ作曲家としての力を認められたことは、大きな自信を与えてくれた。橋本さんは「音楽は人生をともに歩んでいくパートナー。作曲し続け、自分自身に挑戦し続けたい」と語った。

ISC Shooting StarのWEBサイトはこちら(ページ下部のリストの中から「Kaoru Hashimoto」を探して再生してください)

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ