通学の安全どうすれば バス停に教職員 校庭の開放中止 九州でも模索

西日本新聞 一面

 川崎市多摩区でスクールバスを待っていた児童らが殺傷された事件を受け、九州の学校現場でも、登下校時の児童の安全対策を強化する動きが広がっている。児童を一人にしないよう教員や保護者が見守り、警察も学校周辺を巡回。安全なはずのスクールバスを利用する児童が被害に遭った事実は重く、「どうすれば子どもたちを守れるのか」と戸惑いの声も漏れる。

 福岡雙葉小(福岡市中央区)は事件前から、スクールバスの運転手以外に添乗員も同乗し、児童の安全を確認してきた。同校は事件があった28日、乗り場で児童が一人で待たないよう、保護者に当面の間の送迎をメールで依頼した。

 全校児童・生徒の約半数がスクールバスを利用する小中一貫校「北九州子どもの村小・中学校」(北九州市小倉南区)は29日朝から、全ての乗り場に教職員を配置し、下校時には同乗するようにした。「事件を完全に防ぐことは難しいが、何もしないわけにはいかない」と高木秀実・中学校長。「少なくとも先生が同乗することで、子どもたちが安心できればと思う」

 通学の安全確保のために導入が進んだスクールバス。毎日決まった場所、時刻に子どもたちが集まるため、狙われやすいのでは、と心配する声も出ている。ある小学校関係者は「不審者を刺激したくないので、バスで通学させていること自体、知られたくない」と声を潜めた。

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 悲惨な事件が起きるたびに通学路の安全対策は強化されてきた。大人が見守っていても安全とは言い切れない現実に憤りと無力感を覚えつつも、関係機関は動きだしている。

 福岡県警は28日、通学路の安全対策強化を求める通知を35警察署に出した。地域との連携や不審者情報の共有などを継続し、不審者が隠れやすい場所など通学路の危険箇所も再度点検するように求めた。

 普段から交番員らが通学路の見守りを行っている福岡中央署は28、29日、署員が管内の全15小学校を回って説明。少年補導員に見守り活動への協力を呼び掛けた。早良署も巡回を強化、見守る署員を増やした。

 熊本県警八代署は30、31日朝、八代市の小学校のスクールバス乗り場で、署員15人程度が安全確認をしたりパトカーで巡回したりして警戒する。同市では6小学校がバス15台を運行し、児童250人が利用している。署は「模倣犯の懸念もあり、児童や保護者の間で高まる不安の解消につなげたい」という。

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 事件の衝撃は大きい。福岡市は今後2週間、127校で放課後の遊び場として運動場、体育館を開放する「わいわい広場」を中止する。児童が集団下校して教員らが通学路で見守れるようにするためだという。市は、138校で行っている土日の昼間校庭開放事業も6月1、2日は中止する。事件の余波は今後もさまざまな場面に及びそうだ。

 福岡市南区では2003年5月、登校中の小学5年生の男児が通り魔の男にガソリンを浴びせられて火を付けられ、全身やけどを負った。その事件をきっかけに、同区では04年から登校する児童を住民5千人で見守ることを目指す「5千人大作戦」を続けている。

 福岡県警幹部は話した。「無差別に狙う犯行を防ぐのは難しいが、警察だけでなく地域の目や絆が子どもを守る武器になるはずだ」

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