110年前のきょう、彼はロシア系ユダヤ移民の子として米国・シカゴに生まれた・・・

西日本新聞 オピニオン面

 110年前のきょう、彼はロシア系ユダヤ移民の子として米国・シカゴに生まれた。家は貧しく福祉施設で教育を受けた。無料で音楽を教えてくれる教室で手にしたクラリネットが人生を変えた。才能を開花させプロの演奏家に

▼自ら楽団を編成し、歯切れの良い新しい音楽「スイングジャズ」を大流行させた。「スイングの王様」と称されたベニー・グッドマンである。クラシックの殿堂カーネギーホールでジャズコンサートを成功させるなど、米音楽史を塗り替えたグッドマン。もう一つ後世に残る逸話がある

▼当時の米国では、南部を中心に人種差別政策が行われ、乗り物や公共施設では白人と有色人種を分けるのが当たり前と考えられていた。音楽界でも白人と黒人が同じ舞台に立つことはなかった

▼グッドマンは自分の楽団に黒人の演奏家を採用し、一緒に演奏した。その生い立ちが、悪(あ)しき慣習に風穴をあける勇気を与えたか。「黒人最初の大リーガー」とされるジャッキー・ロビンソンが登場する10年以上も前のことだ

▼村上春樹さんは「楽器から出てくる音さえ素晴らしいものであれば、そしてそれがご機嫌にスイングさえすれば、彼は半魚人だって雇ったかも知れない」と評した

▼移民や難民を敵視する風潮が強まり、民族や宗教の違いが対立を生む今の世界。だからこそ、聴きたい。肌の色など関係なく、みんなで♪シング、シング、シング。

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