部下のモチベーション どう管理 “傾聴スキル”が大切 34歳記者、セミナー体験

西日本新聞 佐賀版

 「部下のモチベーションをマネジメントする!」。こんなうたい文句のセミナーのチラシが、目に留まった。記者は入社12年目、今年35歳になる。まだ管理職ではないが、若い後輩が増え、助言を求められることも多くなってきた。備えあれば憂いなし。会場へ向かった。

 佐賀市内のホテルの一室。佐賀銀行主催のセミナーには、記者のほかに11人の男女がいた。ほとんどが40、50代の管理職と思われる人たち。三つのテーブルに分かれ、参加した理由を語り合った。「部下のモチベーションをどうしたら上げられるか」「若い人とのギャップを感じる」-。

 「その2点はよく聞きます」。そう語るのはセミナーの講師で、ビズ・ナビ&カンパニー(福岡市)の安藤美智子氏。メンタルヘルスやキャリア開発が専門で、民間のほか行政の研修会でも教壇に立つという。

 安藤氏は、仕事のモチベーション低下の要因はプライベートや職場の人間関係など多岐にわたるとし、こう明言した。「管理職には部下がメンタル不調になった場合にケアする責任がある」。会場が緊張感に包まれた。管理職ではない記者の背筋も自然と伸びた。

 「まずは部下の観察が必要」と安藤氏。「身だしなみ」「態度」など5項目が並ぶシートへの記入を求めた。

 後輩2人を念頭にシートに向き合う。普段の「身だしなみ」のイメージは湧くが、「行動」の傾向や「人間関係」はどうだろうか。次第に筆が止まった。安藤氏は「部下の印象は意外と思い込みが交じる。普段から観察していないと詳細に書けない」。

 次は「ギャップ」について。安藤氏によると、今の入社1~3年生は、スマートフォンでのやりとりが中心で、面と向かってのコミュニケーションが得意ではない人も目立つという。

 仕事に求める価値観でも、「達成感」より「給与」「休暇」が重視される。「昔は『飲みニケーション』で部下の内面を把握できたが、最近は通用しない。仕事後は早く帰宅し、自分の時間を大切にしたい傾向が強い」

 価値観の違いがギャップを生むのは理解できる。では、どうすればギャップを埋められるのか。安藤氏は「大事なのは傾聴のスキルを磨くこと」と強調する。本人との対話で、モチベーション低下の原因を探る必要があるという。

 「与えた仕事ができなかった場合、なぜできなかったのかと原因を追及しがちだ。これでは問題は解決しない。できた部分を認めつつ、できなかった部分はどうすればできるのか、一緒に考える姿勢が不可欠」。愚痴でも弱音でも、自由な発言を引き出すのがポイントという。経験を振りかざして、上から目線では駄目ということだろう。

 じっくり話を聞くためには普段からの何げない雑談が重要とも。「雑談には本人を知る貴重な情報がある」と言う安藤氏自身、以前に別の民間企業で管理職を務めていた際、雑談を重視していなかったことで部下との人間関係に悩んだことがあったという。

 参加者の男性は「朝一番のトイレの時には気を抜いていることが多く、話し掛けると本音が漏れやすい」と独自のテクニックを披露し、思わずうなずいた。

 取材でもいきなり本題を切り出すより、雑談で相手の心を解きほぐした方が事が運ぶこともある。部下のマネジメントは取材に通じる面があると感じた。

 「何でも言い合える信頼関係が築ければ、部下は気持ち良く仕事ができて能力を発揮できる。チームの生産性も上がる。新しいアイデアはそういう職場から生まれる」と安藤氏。

 部下の内面まで気を配る管理職を思うと気が重くなるが、何でも言い合える職場の雰囲気をつくるには普段の積み重ねが大事。記者にもこの一端くらいは担えそうだ。

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