採用難の地方中小企業、できることは 「社長チップス」生んだ社長に聞く「必要なのは思考のアップデート」

西日本新聞

エスプライドの西川世一社長 拡大

エスプライドの西川世一社長

社長チップス

 就職、採用の現場では「売り手市場」が続いている。就職情報サイトの調査では、2020年大卒予定の内定率は5月1日時点で50%を超えた。最も苦戦を強いられているのが、地方の中小企業だ。しかし、菓子を活用した企業ブランディングやファン作りなどを手掛ける「エスプライド」(東京)の西川世一社長は「地方の中小にもやれることはまだまだある」と話す。企業と若者の新しい関係を探る取り組みを聞いた。

―4月、学生が「魅力的な社長」を審査するコンテスト「チャーミング・チェアマンズ・クラブ・チャンピオンシップを初開催。全国から約400社が参加した。

 「東京以外の企業が半数を占めたのは驚きでした。若者に自分の会社のことを知ってほしい、という多くの企業トップが多いことを再認識しました。養鶏所や葬儀業、洋菓子メーカーなど、それぞれの会社が大事なものを守りつつ何かを変えていくチャレンジをしているストーリーに学生たちも心を動かされていました。審査にあたった学生たちには「都内の情報技術企業よりも、地方の頑張っている会社を同世代に知ってほしい」という思いを抱いているように感じました」

 ―コンテストを経て感じた課題は。

 「若者、学生はテレビでCMを流すような大企業を除けば、世の中の会社のことはほとんど知りません。大きな会社でなくても、魅力的な会社は多いし、そういう会社は社長自身が魅力的。逆に考えれば、社長が魅力的じゃないと小さな会社は潰れてしまうとも言えます。これまで、社長自身が表に出て学生や若者にプレゼンテーションをする機会はほとんどありませんでした。縁遠かった「若者」と「社長」を、もっと近づけることが必要だと感じています」

 ―自身も父が経営する名古屋市の紙器メーカーから独立起業。地方の中小企業の現場で学んだことは。

 「父の会社は輸送用の段ボール容器を作っていました。なかなか他社と差別化できず、頑張っても取引先からは買いたたかれる厳しい世界。自分たちだけにできることをやりたい、とずっと考えていました。そしてたどり着いたのが「お菓子」という分野です。菓子を「メディア」として企業やイベントなどのPRやコミュニケーションに活用すれば面白いと考えました」

 ―2016年、企業トップの写真や経歴などをデザインしたカードを「おまけ」に付けた「社長チップス」を発売。斬新なアイデアの商品は話題を呼び、30~40代を中心に、これまでに200社の社長が参加している。

 「社長を通して、会社の取り組みや魅力を知ってもらうきっかけをつくる――。多くの方に関心を持ってもらうことができました。この社長チップスを発展させて立ち上げたのが新たな事業「社長チップス学院」。「社長と学生、始まりは友達から」をコンセプトに、各地の社長が講師を務め、学生が直接学びます。現場の経営論から、社会人としての身だしなみまでオンライン、オフラインで学ぶ。企業側には学生と直接繋がることができる貴重な機会になります」

 ―人口減が続き、環境がますます厳しくなる地方の企業にとって必要なことは。

 「採用しようとしても誰も来ない悩みをもっている社長は多いと思います。これまでと同じようなやり方では採用は厳しくなるばかりで、中小はどんどん疲弊する。でも魅力的な社長はたくさんいます。まずは採用、とういことではなく、学生と接点を持つような意識をもたないといけない。社長の個性は会社の文化。若い世代に浸透する取り組みを社長自らが率先すれば、若者に訴える力は大くなります。中小でも、やり方を変えれば勝てるはず。中小企業の意識のアップデートをしていきたいですね」

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