「日本仏教語り芸とともに」 僧侶・釈徹宗さん講演 伊万里市

西日本新聞 佐賀版

 相愛大教授で僧侶の釈徹宗さんの講演会「お寺へ行こうよ」が18日、伊万里市大坪町の西念寺(浄土真宗本願寺派)で開かれた。釈さんは、曹洞宗国際センター所長の藤田一照さんをはじめ、宗教者たちと宗派を超えた対話を交わした。

 親鸞の誕生日を祝う「降誕会」に合わせた文化行事の第30回記念として企画された。釈さんは大阪府の如来寺(浄土真宗本願寺派)で住職を務め、著書に「法然親鸞一遍」「不干斎ハビアン」などがある気鋭の仏教学者。

 講演会はお堂であり、ピアニストのウォン・ウィンツァンさんの演奏で幕開けした。この日は小雨が降り、境内から見える新緑に慈愛に満ちた音色が染み入った。釈さんは集まった約300人の聴衆に向け、こうした寺の空間を「地域の文化と歴史につながれる文化拠点で、ともに分かち合う場でもある」と解説。「血縁や地縁が薄れゆく現代は生きづらさを感じる人が多い。ひとりで抱え込まず、『おまかせ上手』の心と体を育てていきましょう」と語りかけた。

 続けて「宗教とは物語に身をゆだねることで、法要はひとつのストーリーを紡ぎ出す語りの文化」との視野を提示。「お寺という柔らかな木造建築の中で、体を震動させ伝える。語りとは物語に身と心をまかせること」と身体感覚との関わりを説いた。

 「日本仏教は語り芸能の発展とともにあった」ともいい、平安末期から鎌倉時代に節談(ふしだん)説教の基礎を築いた安居院(あぐい)流の聖覚(しょうかく)の功績を紹介。平曲や謡曲、浪曲など現代に続く芸能の流れの中で、落語と仏教についても触れた。落語の祖で戦国から江戸初期に生きた僧侶安楽庵策伝(あんらくあんさくでん)は「はじめしんみり、中おかしく、終わり貴く」と笑い話から仏教を説くスタイルを広めたという。

 釈さんは「先人たちは血と涙で、どうすれば人の心に教えが届くか考えぬき、それが文化となっていった」と結んだ。

 講演後、藤田さん、熊本県玉名市のフランコ・ソットコルノラ神父、西念寺の井手恵住職とともに現代と宗教について対談。フランコ神父は「宗教の違いを超え相手を知り、深く対話することが国と国をつなぐ力にもなる」と投げかけた。

 最後に、藤田さんによる座禅入門もあった。藤田さんが説く座禅は「生きていること、生かされていることを味わう時間」。浮かんでくる雑念はそのまま受け止め、だんだんと自意識というエゴを手放していく。藤田さんはアメリカで禅を伝えた経験を例に「成果や悟りは苦から得るものという考えは誤解で、道元も『座禅は習禅にあらず、ただ安楽の法門なり』と言い残している」と話し、動作の正しい順序の大切さなど、現代生活にも通じるヒントを伝授した。

佐賀県の天気予報

PR

佐賀 アクセスランキング

PR

注目のテーマ