間伐現場を「お試し体験」 進む機械化、作業環境改善

西日本新聞 長崎・佐世保版

 「お試し林業体験」に好奇心がそそられ、初夏の青空が広がった平日、山に出掛けた。林業の担い手を増やそうと、県林業協会(諫早市)が参加を随時受け付けている。初めて林業の現場に触れ、仕事の意義や悩み、そして面白さを知った。 

 林業協会の岡本季久さん(65)と北松森林組合(佐々町)の松田裕文さん(56)の案内で向かったのは、佐世保市吉井町の森林。

 曲がりくねった山道を抜けた先に、森林組合職員の末永洋一さん(40)が待っていた。佐世保市出身。滋賀県のメーカーに勤めた後、Uターンして9年前から森林組合で働く。10人の職員をまとめる班長で、岡本さんと松田さんが「頼もしい」と口をそろえる。

 末永さんは早朝、仲間と現場に集合し、作業内容を確認して持ち場へ向かう。この日は間伐。九州の面積の6割以上は森林で、うち55%程度がスギやヒノキなどの人工林。戦後植えた多くが間伐期を迎えている。

 間伐をしない森林は、荒廃して保水力が下がり、土砂災害や環境悪化の原因にもなる。間伐は日当たりを良くし、森林の成長を促す重要な作業。「先人が植えた苗木を数十年後に切らせてもらうのはありがたい」と末永さんは実感する。

 間伐する木までパワーショベルで道を造り、作業を開始。避難場所を決め、切り倒す方向にチェーンソーで切り口を入れ、反対側の切り口にくさびを打ち込む。高さ17メートルのスギが衝撃音とともに倒れた。

 倒れた木は重機につかまれ、裁断される。重機に内蔵されたコンピューターが採寸すると、大型のカッターが飛び出し、枝や幹をばっさばっさと切り取った。作業は機械化され、以前よりも楽になったそうだ。

 木材は佐賀県の伊万里木材市場を経由し、国内外へ運ばれる。最近は中国、韓国の需要が増えた。バイオマス発電の原料にもなる。

   ◇   ◇

 国内産木材の価格は、木造住宅の減少や外国産の輸入が増えた影響で、ピークだった1980年代の4分の1程度。県内の林業就業者は330人(2017年度末)で、約25%が60歳以上。人手不足は深刻だ。

 一方、重労働で危険といわれた作業環境は改善されている。1日の労働は8時間。日が暮れてからの作業はない。夏の暑さ対策で、午前6時に作業を始め、午後2時ごろに終わることもある。プライベートな時間も確保しやすい。

 もちろん、一歩間違えば大きな事故につながる危険を伴うので「慎重さが必要です」と末永さん。

 「お試し」でチェーンソーを使って木を切らせてもらった。ゴーグル、手袋、防音用耳当て、さらに木の破片やチェーンソーが当たるのを防ぐエプロンのようなカバーを身に着け挑戦。切断した瞬間、スギの爽やかな香りがした。

 県内の林業は40代の転職者が増えているが、若い担い手の確保が急務。末永さんは「小鳥のさえずりを聞いて作業できる。仕事を終えて浴びる風も気持ちがいい。自然の中で仕事をするのは最高ですよ」と勧める。

 県林業協会は就職相談会も実施している。協会=0957(25)0184。

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