中国レアアース禁輸も 米中摩擦、制裁応酬どこまで

西日本新聞 総合面

 【北京・川原田健雄】中国がハイテク製品に使われるレアアース(希土類)の輸出規制をちらつかせて、米国をけん制している。米国は輸入するレアアースの8割を中国に依存しており、貿易摩擦で圧力を強める米国への対抗措置として、中国国内で輸出規制論が高まっている。

 「米側が中国のレアアースで作った製品を用いて中国の発展を抑え込もうと考えているなら、中国人民は決して納得しない」。共産党機関紙の人民日報は29日付の論評記事で、対米輸出規制を示唆した。経済政策の司令塔である国家発展改革委員会も28日に同様の声明を発表した。トランプ米政権が中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)に対する米国製部品の事実上の禁輸に動いたことを念頭に置いた指摘だ。

 レアアースが注目されるきっかけとなったのは習近平国家主席の視察だ。習氏は20-22日に江西省のレアアース関連企業などを訪れ「レアアースは重要な戦略資源だ。技術レベルを絶え間なく高めなければならない」と強調した。

 レアアースは軍用品や電子部品などのハイテク製品に欠かせない部材。中国は世界最大の生産国で、2004-17年に米国が輸入したレアアースの8割は中国産が占めた。トランプ政権は「全ての中国製品を対象とした」とする「第4弾」の追加関税でもレアアースを対象外とした。米国の製造業にとって重要な輸入品であることは間違いない。

 中国は10年9月に沖縄県・尖閣諸島付近で起きた中国漁船衝突事件を機に、日本向けのレアアース輸出規制を強めた過去があり、米側も警戒感を強めている。

 米国防総省は29日、レアアースの中国依存を減らすよう求める報告書を議会に説明したと明らかにした。詳しい内容は不明だが、中国依存の軽減や米国内の生産能力の向上に関する内容という。同省の報道担当者は「レアアースの中国依存を軽減するため、大統領や議会、企業と緊密に連携していく」と述べた。

 ただ、輸出規制は世界貿易機関(WTO)のルール違反との見方が根強い。中国は米国の追加関税をWTOルール違反だと批判しており、こうした主張と矛盾するレアアースの輸出規制には踏み切れない可能性もある。中国が日本への輸出を規制した際は、他国からの代替調達やレアアース自体を使わない技術開発が進んだ。欧米メディアからは「輸出規制の影響は限定的」との指摘も出ている。

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