ふるさと納税 地方自治を考える契機に

西日本新聞 オピニオン面

 事実上、地方の裁量に委ねられていた制度から国の許認可制への“衣替え”と言えよう。地方自治の在り方や国と地方の関係を考える契機としたい。

 ふるさと納税の新制度が6月1日から始まる。寄付に対する「返礼品は地場産品」で「調達費は寄付額の30%以下」と定められた。「寄付募集の適正な実施」も盛り込まれ、この3基準に適合した自治体だけを総務相が税優遇の対象に指定する。

 過度な返礼品競争を是正するための制度改正だと、総務省は説明している。

 この結果、豪華な返礼品で多額の寄付を集めたと総務省が認定した、静岡県小山町▽大阪府泉佐野市▽和歌山県高野町▽佐賀県みやき町-の4市町は新制度から除外された。

 みやき町はネット通販大手「アマゾン」のギフト券などを返礼品にして2018年度は約168億円を集めていたという。

 確かに新制度の導入で、行き過ぎた返礼品は姿を消し、豪華さやお得感をあおる競争も沈静化するだろう。それでも、この制度が本質的に抱える矛盾や疑問は決して解消されない。

 地方で生まれ育った人が都会に出て就職する。税制を通じてふるさとに恩返しができないか。それが制度の原点だった。

 しかし、地方税収の視点で見れば、本来は納税者が居住する自治体に納める税金を地方同士が奪い合う構図である。税制の受益と負担の原則に反するという指摘は当初からあった。

 制度設計の段階では想定されていなかった返礼品の過当競争が、問題をこじらせていく。高額納税者の富裕層ほど有利な制度との批判も強まる。

 総務省の再三の通知や指導に従わない自治体が多額の寄付を集めると、従う自治体から「不公平だ」との声が上がった。

 業を煮やした総務省が、地方税法の改正という強硬手段で実現したのが今回の新制度だ。

 見返りを求めないのが寄付のはずなのに、いびつな返礼品競争が過熱してしまった。豪華さを競った自治体の短慮に問題があったとしても、減税される寄付額の上限を引き上げて制度の利用拡大を促した国にも、責任の一端はあるはずだ。

 返礼品競争の背景に、地方税収の偏在や自治体の深刻な財政難という問題の核心があることを忘れてはならない。

 揚げ足を取るつもりはないが「寄付額の3割まで」という基準を設けたこと自体、返礼品を容認したことになる。いっそ全面禁止した方が「見返りを求めない寄付」という筋は通る。それでは寄付が集まらない、と言うのなら、ふるさと納税の理念は廃れたも同然ということだ。

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