生きるための決意の一枚 乳がん患者の写真撮影プロジェクト立ち上げ

西日本新聞 くらし面

乳がん手術前に胸の撮影に臨む女性(右)に語り掛けリラックスさせる岸あさこさん(中央) 拡大

乳がん手術前に胸の撮影に臨む女性(右)に語り掛けリラックスさせる岸あさこさん(中央)

 乳がん手術の前に、安心して胸の写真を撮影できる場所をつくりたい-。乳がんの患者グループを主宰する岸あさこさん(49)=福岡市博多区=が、乳がん患者専門の写真撮影プロジェクト「生きるための決意の一枚」を立ち上げた。岸さんは「患者の多くが胸を失う恐怖や悲しみと闘っている。写真に残すことで気持ちを整理し、前向きに治療に臨むきっかけになればうれしい」と話している。

 岸さんは看護師で、東京の病院や生命保険会社で働いた後にオーストラリアの大学院へ留学。起業のため福岡へ移り住んだ直後の2017年、乳がんと診断され、右胸の部分切除手術を受けた。友人のいない土地で、突然病気と向き合うことになった岸さん。治療の不安や悩みを気軽に語り合える場をつくろうと、翌年会員制交流サイト(SNS)のフェイスブック上で患者グループを立ち上げた。

 数多くの乳がん患者と交流する中で、自身も含めほとんどの人が手術前に胸の写真を残したいと思いながらも、どこに頼めばいいかわからず「自撮り」していることが分かった。「信頼できるカメラマンが見つからなかった」「撮ってもらわずに後悔している」といった声も聞かれた。

 そこで、乳がん患者専門の撮影サービスを始めることにした。まずは東京都内に専用のスタジオを作る計画で、乳がん経験者が手術前で不安な患者の言葉に耳を傾け、安心して撮影に臨めるようにする。脱毛の副作用がある抗がん剤治療前や乳房再建手術後の姿なども撮影できるようにして、撮影技術を学んだ乳がん経験者をカメラマンとして育成していく予定。

 9日、都内の貸しスタジオで初の撮影に臨んだのは、右胸の手術を1週間後に控えた女性(50)。最初は緊張した面持ちだったが、撮影が進むにつれて笑顔になっていった。「撮られるうちに手術への覚悟が固まっていくような、不思議な感覚だった。私の命を生かすために右胸が頑張ってくれるんだな、と今は感謝やいとおしい気持ちでいっぱい」と話した。

 同プロジェクトは、6月14日まで、インターネット上で寄付を募るクラウドファンディングのサイト「Readyfor(レディーフォー)」で活動資金を募っている。目標額は250万円。岸さんのメール=asako@gowe.biz

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